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過去のぐんま天文台談話会 #71-#80

(敬称略)

第71回 2004.3.2, 18:30〜
Nguyen Anh Vinh* ( Hanoi University of Education ) * Visiting student from Vietnam
「Principle of Spectroscop」

In this second training period, I paid my most intention on the photometry and the spectroscopy to know the physical properties of the celestial objects. So I would like to make a presentation about principle of spectroscopy.

In this presentation the following points will be discussed: what and why spectroscopy is, spectral lines and atoms, Doppler effect, spectrometer, diffraction grating, and CCD spectroscopy. Some results from our own observations will be presented here as well.

I would like also to talk about my future plans, what I will do when I return to my country and how we should prepare to build a smallobservatory for research and education in the near future.

第72回 2004.3.16, 19:00〜
齋藤 将志 ( 群馬大学大学院 )
「食連星BZ Eriの測光観測」

BZ Eri ( P = 0.664d,V = 99.48 )は、Hoffmeister (1934)の写真観測によって発見されたアルゴル型の食連星である。Srivastava and Sinha (1981) とSrivastava and Uddin (1986) が光電測光による光度曲線を報告しているが、彼らの観測はデータ量が少なく、光度曲線の精度も十分とは言い難かった。最近では、城代ら(2000)がCCD測光により、大部分の位相をカバーする光度曲線を得て、光度曲線が非対称であると指摘した。このBZ Eriについては、光度曲線が解析されたとの報告はない。スペクトル型については、Gtz and Wenzel (1961)のスペクトル観測では F2、Srivastava and Uddin (1986) の光電測光では色指数からG0と推定され、両報告で食い違っていた。今回新たに、BZ Eriの光度曲線と放射エネルギー波長分布を得た。これらの解析結果に基いて、点存在の可能性も含めてBZ Eriの性質について考察する。

第73回 2004.4.20, 19:00〜
古在 由秀 ( ぐんま天文台 )
「小惑星永年摂動理論の拡張」

1962年に発表した、離心率や軌道面傾斜角の大きな小惑星の永年摂動理論がKuiper-belt天体や太陽系外惑星の発見でそれらに応用されだし、また、多体問題の数値シミュレーションを行っている人たちも、連星が第三体の摂動により、離心率が非常に大きくなる現象も見つかり、この理論が当初に考えられた以外の分野にも応用されるようになった。その応用例のなかには、渦状銀河の衝突にともなう中心のブラックホールの合体もこの作用により容易になるという論文も現れ、一般相対論を取り入れた理論式も導かれている。

このような事情により、もとの理論の拡張を試みた。摂動天体が内側にある、Kuiper-belt天体では、内側にある普通の小惑星とはかなり事情が違い、初めは円に近い軌道の離心率は大きくならないことが分かる。一方、連星に第三体が作用を及ぼすことは、ある種の条件を満たせば可能である。

このように、どんな場合に応用でき、どれには応用できないかを明らかにする。

第74回 2004.5.11, 19:00〜
田中 培生 ( 東京大学 )
「恒星終末期の近赤外スペクトルアトラス および 東京大学アタカマ望遠鏡計画 --TAO計画--」

2000年春より開発を始めた近赤外エシェル分光器を三鷹の1.5m望遠鏡に取り付け、2001/12の1st-light以後、ソフト・ハード両面で改良しつつ、2004/3まで2年余りにわたって100数十夜の観測を行ってきた。ターゲットは大質量星および終末期の恒星である。これらの天体は恒星内部での重元素合成及び質量放出によって特徴づけられ、系統的な赤外スペクトルはこれらの物理を解明するための有力な手段である(と信じている)。得られたスペクトルアトラスおよびそれらのスペクトルを基に考えていることの現状を紹介する。

おまけとして、TAO計画の経緯と現状についても紹介したいと思います。

第75回 2004.5.25, 19:00〜
神戸 栄治 ( 防衛大学校 / 地球海洋学科 )
「星震( 星の地震 )をみる」

昨今の観測技術の進歩により、極めて微小な星の振動が観測できるようになってきている。例えば、太陽型星の分光( 視線速度精密測定 )観測では、1m/s 以下の速度振幅の振動が検出されており、また、宇宙からの精密測光観測では 1ppm ( 百万分の1 )程度の星の変光の検出が試みられている。星の震動は星の内部を伝播する波であり、その特徴は星の内部の状態を反映している。従って、星の振動観測は、我々に星の内部を直接診断する機会を与えてくれる。本講演では、このような星震学と呼ばれる分野の最近の進展状況や、今まさに進行中の、カナダのMOST衛星( 人類最初の星震学衛星 )と Gunma 1.5m などの地上望遠鏡との、早期型星 zeta Ophuichi についての共同観測について、解説を試みたい。

第76回 2004.6.15, 19:00〜
柏川 伸成 ( 国立天文台 )
「すばるによる遠方銀河探査」

すばる観測所プロジェクトSDF ( Subaru Deep Field ) は系統的な z > 4の遠方銀河探査を主目的に掲げた計画で、2002年4月から始まり2004年の春に一応の完了を見た。すばる主焦点カメラの広視野( 34' x 27' )を活かし、5つの広帯域バンドと2つの狭帯域バンドで各々10時間の長時間積分を行い、各バンドで約10万個の天体をサンプルすることができた。この中には z = 4, 5, (6) のライマンブレイク銀河、及び z = 5.7, 6.5 のライマンα銀河も含まれている。この計画の概要と現状、今後の見通しについて述べる。

第77回 2004.6.29, 19:00〜
河北 秀世 ( ぐんま天文台 )
「リニア彗星(C/2002 T7)のコマに存在する氷粒子について」

事前に話題になったほどには明るくならなかった今年の2大彗星ですが、それでも、ここ2年ほどの間では最も明るい彗星として、彗星研究者たちの関心の的となりました。今回は、その2大彗星のうちのひとつ、リニア彗星(C/2002 T7)について行った観測を中心にお話します。

彗星というのは、「核」と呼ばれる氷と塵の固まりが中心にあります。この核に閉じ込められている氷を直接観測することは非常に難しいのですが、彗星が太陽から遠くにある時には、氷の粒子が彗星核から放出され、その氷粒子を観測できることがあります。私たちのグループでは、2003年の9月にハワイにある「すばる望遠鏡」でリニア彗星を観測し、氷粒子の検出に成功しました。観測されたのは水の氷であり、その氷がアモルファス状態であることが分かりました。アモルファスの氷ができるには一定の条件が必要なので、このことから彗星の氷ができた温度などについて知ることができます。今回の結果から、リニア彗星は太陽から25天文単位以上離れた、冷たい場所で出来たことが分かってきました。

当日は、この話題以外にも、リニア彗星・ニート彗星についての最新の観測結果をお見せする予定です。

第78回 2004.6.30, 18:00〜
岩上 直幹 ( 東京大学 )
「金星大気光G線の謎」

大気光は天文では邪魔者として嫌われているが、地球惑星物理では古来より貴重な情報源とされている。酸素原子557.7nm線は大気光・極光の代表的輝線だが、その励起機構に関して議論は収束していない。中間励起状態がある所まではいいのだが、それが何であるかが解からない。候補としてはO2の A, A', cがあるが、前二者は観測とあわず、最後者はエネルギー的にわずか不足。25年前にベネラが金星大気光を測った時、意外な情報がもたらされ、問題は一挙解決したかにみえたのだが、事態はその後二転三転・・・

第79回 2004.9.14, 19:00〜
平山 淳 ( 明星大学 )
「太陽コロナは何故百万度か、太陽風は何故吹くか」

太陽白斑には、対流の現れである光球の粒状斑のハザマにあって、磁場が掃き寄せられる為 1000ガウスになる磁場が観測されている。それが押されてツイストすると、磁力線の捻りがコロナへ伝わる。ツイストしている磁気チューブには、磁場の凍結のため、E = V x B / c により、半径方向に電場 Er が生ずる( Er = - Vφ Bz / c,円筒座標 r, φ, z )。 Er があるため湧き出し、即ち電荷が生ずる( 教養の物理だがここがミソ )。電荷はツイストしている限り消去されない。電荷の存在のため、磁場に沿った大きな電場 Ez が生じ、小数の電子が加速され、通常のクーロン衝突によりコロナが加熱され、太陽風も吹き始める。フレアの話、2006年打ち上げ予定の Solar B 計画についても言及する。

第80回 2004.9.28, 19:00〜
川端 弘治 ( 広島大学 )
「広島大学新1.5m望遠鏡で探る宇宙の高エネルギー現象」

広島大学では、国立天文台三鷹キャンパスに設置してある1.5m光学赤外線( = 赤外シミュレーター)を譲り受け、西日本の適地へ移設して、ガンマ線天文衛星やX線天文衛星と密接に連携した独自の天文学研究を進めつつ、赤外シミュレーターの機能を一部継承した共同利用も行うことを念頭に、サイト調査や建設準備、装置開発などを行っている。順調に行けば、来年春にはドーム施設の建設が始まり、晩秋には望遠鏡の移設が行われて2006年からは観測が始まる見込みである。研究対象となる天体は、ガンマ線バースト、ブラックホールを含む連星系、超新星のほか、GLASTによって多数発見されると期待される新ガンマ線天体である。高エネルギー天文衛星と可視・近赤外線の連携観測によって新しい成果が期待できる。講演では、これら広島大学宇宙科学センターの研究計画をまとめて報告したい。

講演者と題目の一覧

概要集: 1-10,  11-20,  21-30,  31-40,  41-50,  51-60,  61-70,  71-80,  81-90,  91-100,  101-110,  111-120,  121-130,  131-140,  141-150,  151-160,  161-170,  171-180,  181-190,

今後の予定