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過去のぐんま天文台談話会 #101-#110

(敬称略)

第101回 2005.12.6, 18:00〜
川邊 良平 ( 国立天文台 )
「南天の星々と暗黒宇宙を探る巨大電波望遠鏡アルマ」

すばる望遠鏡(*)に次ぐ、大型天文観測装置計画「アルマ」( = ALMA(**),スペイン語で魂の意味 )についてのお話をします。この望遠鏡は、光や赤外線で観測するすばる望遠鏡とはいろいろな面で異なります。まずその 1)、電波で観測する望遠鏡であり電波の中でも波長が最も短いミリ波サブミリ波と言われる電波を観測します。その 2)、一枚の鏡からできているのではなく、多くのパラボラアンテナ( 口径 12 m と 7 m のアンテナ全80台 )を組み合わせた「複眼」望遠鏡とも言うべき電波干渉計です。アンテナを14キロメートル四方に展開すると、直径14キロメートルの対応する望遠鏡が出来上がります。これにより、宇宙を極めて詳細に調べることができます。その 3)、南米チリの標高5000メートルの高地に建設します。建設は、日本、米国、ヨーロッパが中心になって国際協力で行います。このような国際協力は、基礎科学の分野では初めてです。その 4)、光では見ることのできない暗黒宇宙を観測します。たとえば、暗黒星雲で中での星の誕生や惑星系の誕生、さらには最果ての宇宙での銀河の誕生の様子を明らかにすることができます。

注: (*)すばる望遠鏡とは、日本がハワイ・マウナケア山山頂に建設した世界最大級の光赤外線の望遠鏡。口径は8.2メートル。 (**) ALMA は、Atacama Large Millimeter/Submillimeter Array の頭文字をとったもの。

第102回 2005.12.20, 18:00〜
大石 雅寿 ( 国立天文台 )
「ヴァーチャル天文台とそのサイエンス」

現代天文学では全波長の観測データがデータベース( DB )として格納されて研究に活用されている。しかし,各波長( 各天文台 )毎に独立にDBを構築しているという問題がある。宇宙の諸現象の本質を理解するためには,多波長データを有機的に連携することが重要である。我々はこれを実現するヴァーチャル天文台( VO )計画を進めており,国際連携の元,世界各国の天文DBの相互利用が2004年12月から可能となった。現システムはまだ初歩的なものであるが,将来の天文学研究の標準基盤となると考えられる。講演では,VOシステムの概要,将来性,及びVOシステムを利用したサイエンス の例などを紹介する。

第103回 2006.1.24, 18:00〜
泉浦 秀行 ( 国立天文台/岡山天体物理観測所 )
「可視光で描き出す赤色巨星の質量放出」

可視域の高感度撮像観測により、赤色巨星から放出された固体微粒子の空間分布を描き出すことに最近取り組んでいます。その分布を知ることで、赤色巨星からの物質の流れ出しの様子、時間変化、星の周囲の空間にある物質との相互作用を調べるのが目的です。固体微粒子は星から放たれた光を反射して光っていると考えられます。従ってとても微弱だと予測されます。そんなものは本当に見えるのでしょうか? 講演では最新の成果を織り交ぜてお話し致します。

第104回 2006.2.7, 18:00〜
綾仁 一哉 ( 美星天文台 )
「美星天文台の近況 - 市町村合併など激動の時代を迎えて -」

美星天文台はオープン以来12年余りが経過しました。星の郷美星町のシンボルとして始まった天文台は、市町村合併による美星町の自治体としての消滅と、指定管理者制度への移行という、大きな波にもまれています。ここ数年間、天文台が行ってきた活動( 学校教育連携、公募観測、一般普及、国際交流等 )を振り返りながら、天文台の社会的存在価値と今後の方向を考えたいと思います。

第105回 2006.2.21, 18:00〜
Budi Dermawan ( バンドン工科大学 )
「Photometric Observations of Karin Family Asteroids」

Recently, Karin family asteroid is found to have been formed by a catastrophic collision of 5.8 Myr ago ( Nesvorny et al. 2002). This very young family currently consists of 〜 70 asteroids with sizes ranging from 〜 1.5 to 20 km. Because of this remarkably young age, it is likely that the Karin family members still preserve some signatures of the original collisional event. One of the signatures is the tumbling motion ( non-principal axis rotation ) damped by the internal energy dissipation. If the damping timescale of tumbling motion after a collisional event is long enough, it might be observed even now. We report here the results of our photometric observations of about a dozen members of the Karin family collected from several sites.

第106回 2006.3.7 19:00〜
大師堂 経明 ( 早稲田大学 )
「那須大型電波干渉計の建設と電波新星の観測」

早稲田大学宇宙物理学研究所は、1999年から、20mアンテナ8基からなる大型電波干渉計の建設をスタートさせた。集光面積が巨大で感度も高いが、さまざまな工夫をして、建設費を極めて安く抑えた。おそらく、通常の数十分の一である。

観測周波数は、保護バンドである1.4GHz。トランシット型であるため、駆動はAzのみの1次元である。球面鏡を利用したことにより、建設コストを抑えることができた。球面鏡の構造は地球の緯線、経線のように等曲率であるため、H鋼を3点ローラーに通すだけで成型できる。

光やX線、ガンマ線では空の広い範囲を頻繁にモニターする観測がなされている。ツヴィッキーはシュミットカメラを用いて超新星を発見した。ヴェラ衛星はガンマ線バーストを発見した。早稲田大学では、電波で広い空を監視する装置を開発し、時間変動する宇宙を電波でしらべようと数々の試みを行ってきた。 那須大型電波干渉計の集光力により、スレッショルドを越えて電波新星が検出されはじめた。どのような天体であるのかは、まだ分かっていない。いくつかの可能性をお話する予定です。

第107回 2006.3.9 17:00〜
Han Inwoo ( Korea Astronomy and Space Science Institute )
「Histroy and Current Status of Korean Public Astronomical Facilities」

(概要情報なし)

第108回 2006.5.9 19:00〜
小林 秀行 ( 国立天文台 VERA観測所 )
「VERA計画の現状と今後の観測計画」

VERA計画は、2000年度から開始された世界初の位相補償VLBI観測専用装置を使用して高精度アストロメトリ観測を行うシステムである。口径20m電波望遠鏡に世界初の2ビーム観測システムを搭載し、大気変動などの位相誤差要因を補正し、10マイクロ秒角のアストロメトリ観測を目指すものであり、最近近傍の天体について年周視差の計測に成功した。このVERA観測システムについて紹介し、世界のVLBIアストロメトリ観測の現状とVERAによる観測の方針や研究の目標について紹介する。またVERAを核として形成されている大学連携VLBI観測網の現状を紹介し、東アジアVLBI観測網についても、現状と今後の研究の方針について紹介する。

第109回 2006.5.23 19:00〜
高橋 英則 ( ぐんま天文台 )
「赤外線天文衛星ASTRO-F/あかり」

ASTRO-Fは、JAXA/宇宙科学研究本部が中心となって計画・開発を進めてきた我が国初の本格的な赤外線天文衛星である。2006年2月22日に鹿児島県・内之浦宇宙空間観測所からM-V-8号機ロケットにより太陽同期軌道に投入され、「あかり」と名付けられた。IRAS衛星( 1983年打ち上げ )は、赤外線による全天観測を世界で初めて行い、天文学の進歩に大きく貢献したことは周知の事実であるが、ASTRO-F/あかり計画は、IRAS衛星と同様の全天サーベイ観測を、より広い波長域で、はるかに優れた空間分解能と検出能力で行う計画である。衛星全体は機械式冷凍機と超流動液体ヘリウムで冷却される。この冷凍機と口径67cmのSiC望遠鏡は世界初の衛星搭載であり、機器開発の技術的発展にも一役を担っている。主観測装置は、近・中間赤外カメラIRC( InfraRed Camera )、遠赤外サーベイヤーFIS ( Far-Infrared Surveyor )の2つで構成され、波長1.8micronの近赤外線から200micronの遠赤外線までをカバーする。特に30micronより長い波長域では大気は不透明であり、観測はスペースからしか行えない。また地球大気が透明な波長帯においても、大気が放射する赤外線の影響により観測限界には大きな制約がある。したがって赤外線領域全体に渡って高感度の観測を行うためには衛星が必須である。IRCは広視野、多数のフィルターバンド、撮像と同じ波長帯をカバーする分光機能を持っており、FISはIRASには無かったラージフォーマットの検出器、長い波長のバンドを有している。さらに50 〜200micronをカバーするフーリエ分光器も搭載しており、多様な観測が期待される。これら豊富なモードを用いることで赤外線全天カタログの作成以外にも、宇宙形成初期の銀河形成と進化過程の解明、惑星系形成過程、褐色矮星などの低温度天体の検出等々得られるサイエンスは多岐にわたる。今回の談話会では、この衛星の概要・開発状況を中心に、他衛星との比較、具体的な観測計画についても触れる予定である。

第110回 2006.6.6 19:00〜
森 淳 ( 西はりま天文台 )
「西はりま天文台彗星スペクトルセンター始動」

彗星はその名の通り「彗星の如く」突然あらわれそして去っていく。彗星には水・有機物が含まれており生命の起源ともリンクしているのではないかと考えられている。詳細な観測には大口径の望遠鏡が必要であるが大口径望遠鏡は観測スケジュールがどこもタイトである。そのため観測可能な彗星は限られており、突然現れた彗星を観測することは困難である。2004年にオープンした西はりま天文台2m望遠鏡「なゆた」はフレキシブルな運用が可能である。そのため突然現れた彗星に対して絶好の機会を逃さずに観測することができる。機動力のある望遠鏡としては口径2mは大きいので集光力を生かし、彗星の中高分散分光観測が可能である。このコンセプトのもと「西はりま天文台彗星スペクトルセンター」を立ち上げ、活動を開始した。

講演者と題目の一覧

概要集: 1-10,  11-20,  21-30,  31-40,  41-50,  51-60,  61-70,  71-80,  81-90,  91-100,  101-110  111-120,  121-130,  131-140,  141-150,  151-160,  161-170,  171-180,  181-190,

今後の予定