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過去のぐんま天文台談話会 #151-#160

(敬称略)

第161回 2010.7.6 19:00〜
浮田 信治 ( 国立天文台 )
「赤外超過を示すCepheid候補星の分光観測」

我々はAKARIデータを使ってCepheidの中間赤外超過について調べた。IRASデータを用いた同様な仕事(McAlary等1986)があるが、今回の調査では、(1)検出感度向上と(2)GCVSカタログに加えて最近のAll Sky Automated Survey(ASAS)の変光観測によるCepheid候補星の数の増加により、サンプルが倍増した。多くのCepheidに検出される中間赤外放射量は光球の黒体放射で説明が出来るが、赤外超過を示す星々も見つかった。Cepheidの中にもダスト雲を伴う星があると示唆される。しかしながら、これらに類似した変光星にはMira型星、半規則変光星、RV-Tau型星などがあるので、我々のサンプル星に関して分光分類をして、一段進んだ選別を行うことが重要である。

赤外超過があるCepheidとは、いったん赤色巨星段階に滞在している時期に質量放出して星周にダスト雲を形成し、その後再びセファイド不安定帯に戻って来たというのが我々の作業仮説である。上記の観測により、Cepheidの質量放出の歴史(時期と期間)や連星系である場合には質量交換に関する議論を展開する「具体的な天体」を提示することが出来る。

第162回 2010.10.5 19:00〜
古在 由秀 ( ぐんま天文台 )
「天体力学でやってきたこと」

大学三年生の時指導教官に言われて、小惑星Thuleの運動の計算を始めてから60年がたつ。これは特異小惑星と分類されるものであるが、それからは、研究の題目は自分で決め、普通の小惑星でも運動がよく分かっていないことに気付いた。一方、久しぶりに土星の衛星の観測結果が出版されたので、それを制約し、「土星系の天文定数」という論文を書いた。

1958年の晩秋から、スミソニアン天文台に滞在して行った人工衛星の運動の研究は、「コザイの式」としてしか紹介されていないが、そこでなにをしたか述べたい。また、現在「古在機構」と呼ばれている研究も説明する。

20年ほど前に、天王星のε環の研究を行ったが、これは未完成なので、このことについて最後に触れたい。

第163回 2010.11.2 18:00〜
神戸 栄治 ( 国立天文台 岡山天体物理観測所 )
「HIDES/OAOのファイバーフィード化計画と恒星振動現象の観測」

国立天文台岡山天体物理観測所では、約1等級のスループットの向上と視線速度測定精度の改善を目指して、HIDESのファイバー・フィード化計画を進めている。これまでの試験観測から概ね目的に近い性能を確認できているが、講演の前半では、この試験観測の状況や今後の課題などを紹介する。また、後半は、中小口径望遠鏡を利用して行うのに適したサイエンスの例として、上記観測装置など使用して実施している、恒星振動の観測について述べる。恒星の振動を利用して行う星震学は急速に発展しつつある分野で、他の方法では見ることのできない、恒星内部の対流や自転の様子が捉えられつつある現状を紹介したい。

第164回 2011.2.1 18:00〜
森谷 友由希 ( 京都大学 )
「Be/X線連A0535+262におけるBe星星周円盤の変動」

Be/X線連星はBe星とコンパクト星からなるX線連星であり、Be星の もつ星周円盤からコンパクト星への質量輸送によりX線活動を示す。この系では一般的に離心率が小さくない為に質量降着率に軌道位相依存性があり、transient天体が多く、outburstが観測される天体が多い。

我々は2005年からBe/X線連星A0535+262について可視光高分散分光 モニター観測を続けている。このモニター観測は日〜週スケールの短時間変動から1軌道周期(〜110日)以上の長期間変動を系統的に調査する為に行っている。

今回はこれまでの観測から得られた、長期的な変動や、outburst時の短期間変動について発表する。

第165回 2011.3.1 19:00〜
本田 敏志 ( 京都大学 )
「矮小銀河の金属欠乏星 Sextans S15-19の化学組成」

我々の銀河系の周辺には多数の矮小銀河が存在しており、これらは銀河系のビルディングブロックの残骸であると考えられている。そのため、矮小銀河の金属欠乏星には銀河ハローの形成や化学進化の研究に重要な情報が含まれている可能性がある。近年8-10m級の望遠鏡によって、これらの星の高分散分光観測が行われその化学組成が調べられるようになってきた。

しかしながら、これまでの観測では、矮小銀河の星は銀河系ハローと異なる化学組成の傾向を示し、銀河系で見られる非常に金属量の少ない星がほとんど存在しないことから矮小銀河の化学進化は、銀河系と違う化学進化をしている可能性も示されている。我々は、ろくぶんぎ座矮小楕円体銀河に属する金属欠乏星S15-19をすばる望遠鏡高分散分光器を使って観測し、この星の詳細な化学組成を得た。この観測結果と銀河の化学進化について議論を行う。

第166回 2011.7.5 19:00〜
藤本 眞克 ( 国立天文台 )
「天体重力波検出へのカウントダウン」

昨年度にようやく計画がスタートした我が国の重力波望遠鏡LCGTや米国でグレードアップ計画が進行中のAdvanced LIGOなど「第2世代」の検出装置の完成によって、天体からの重力波検出が実現するまで秒読み段階に入ってきた。重力波に関する簡単な説明に続いて、今世紀になって稼働を始めた「第1世代」の重力波検出用レーザー干渉計 ( TAMA, GEO, LIGO, VIRGOなど )による重力波探査の結果と現在進行中の計画の概要を紹介する。

第167回 2011.9.27 19:00〜
植村 誠 ( 広島大学 )
「宇宙物理学とベイズモデル:最近の仕事から成分分離やトモグラフィーなど」

ベイズ統計を応用したモデルはマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法の発展と共に、近年様々な分野でその利用が広がっている。ベイズモデルは特に、少ないデータや縮退した情報からパラメータを推定する場合に有利なことが多く、宇宙物理の分野においても応用範囲が広い。今回の談話会では最初にベイズ統計の基本とMCMCについて概説した後、我々のグループが最近行ってきた以下の3つの研究を紹介する:
1) 矮新星のアウトバースト頻度を考慮した軌道周期分布の推定
2) ブレーザーの可視偏光データを利用した長期・短期変動成分の分離
3) 矮新星の早期スーパーハンプを利用した降着円盤の高さマップの再構成

第168回 2011.11.1 18:00〜
衣笠 健三 ( ぐんま天文台 )
「私のぐんま天文台での12年」

ぐんま天文台の開館する1年前、1998年4月に群馬県教育委員会生涯学習課天文台準備室に就職してから、今年10月に退職するまでの12年と半年の間、ぐんま天文台の職員として活動してきました。天文台の立ち上げに始まり、様々な観測装置の構築、計算機システムの構築や更新、リモート望遠鏡システムの構築、インドネシアとの交流などいろいろさせて頂いたと思います。天文現象としても、SN2002ap、GRB030329、SN2009dc などの研究対象となる超新星やガンマ線バーストの出現などのほか、しし座流星群の極大、火星大接近、ホームズ彗星の急増光といったイベントも経験しました。12年間にやってきたことなどをふり返りながら、お話したいと思います。

第169回 2011.12.6 18:00〜
吉岡 一男 ( 放送大学 )
「夜空は何故暗い? オルバースのパラドックスのパラドックス」

ほぼ同じ明るさの恒星が宇宙空間にほぼ一様に無限に広がっているならば、夜空は現実の昼間よりも9万倍以上明るい、ということが導かれる。現実の夜空の暗さとまったく異なるこの結論は、オルバースのパラドックスとして知られている。そして、宇宙が膨張しているためにこのパラドックスは成り立たない、とよく言われている。私はかつて、高校の地学教科書を執筆した時に、宇宙の膨張への導入として、このパラドックスを書こうとしたことがあった。結局、その案は不採用になったが、執筆した過程で、私はこのパラドックスの一般の通俗書の記述に疑問を持つようになった。ここでは、それらのことについて述べる。

第170回 2011.2.7 18:00〜
中島 健介 ( 九州大学 )
「木星気象学の最近の発展」

木星は、宇宙に存在する惑星の種別の一つである「巨大ガス惑星」の典型として、天文学、惑星科学の重要な研究対象である。しかし、その表層の大気についてさえ、ガリレオ、カッシーニなどの探査機による接近観測にも関わらず、まだ未知の問題が多く残っている。ここでは、巨大ガス惑星に共通する特徴でもある東西風ジェットと雷雲活動について、探査機による観測、その画像の解析、および、数値モデリングの結果を紹介する。特に、雲の分布と鉛直運動の関係が、地上観測から推定されたものと全く逆であることなど、大気力学の重要性についても議論したい。

講演者と題目の一覧

概要集: 1-10,  11-20,  21-30,  31-40,  41-50,  51-60,  61-70,  71-80,  81-90,  91-100,  101-110,  111-120,  121-130,  131-140,  141-150,  151-160,  161-170,  171-180,  181-190,

今後の予定