(敬称略)
「私は誰」という問に、私が答えることは難しい。太陽と地球と水などの物質によって育てられた生物であるヒトが、いま地球環境を根源から知る必要に迫られている。エネルギー問題、環境問題に関連して、地球環境を天文学の見方で考えてみよう。熱帯雨林や北極海を見る目が変わってくるかもしれない。太陽エネルギーで生きて行く技術もそこから生まれてくるに違いない。
小惑星の分光分類型(taxonomic type)分布は、小惑星の起源と進化を調べる上で基本的に重要なテーマである。小惑星の進化では、平山族に代表されるように、衝突現象が最も重要な役割を果たしている。私たちは、すばる望遠鏡の広視野カメラによって小惑星ベルト全体にわたる数100m(以下sub-kmと呼ぶ)小惑星の空間分布、サイズ分布、分類型分布(C-type,S-typeなどの別)を統計的に調べようとしている。最近の衝突実験やシミュレーションによると、C型とS型の数比(C/S比)は、大きい小惑星と微小な小惑星とでは大幅に違っている可能性がある。C/S比は(B-V)カラー、つまりB,Vバンドの測光だけで大体の傾向は知れるが、B,V,R,Iバンドで観測すれば、もっと精度の高い分類が可能になる。現在、直径20-30kmまでのC/S比は分っている。しかし、すばる望遠鏡でsub-kmのC/S比が測定できたとしても、中間の数km-10kmの領域は未知のままである。どのサイズ領域からC/S比が変化し始めるかを知ることも、衝突のメカニズムを決める上で大きな意味を持っている。よって、1-1.5mクラスの望遠鏡で数km-10km領域のC/S比を決定する観測を行ないたいと考えている。
We report on the ASCA results of a featureless X-ray spectrum from RX J1713.7-3946, a new shell-like SNR discovered with the ROSAT all-sky survey. The northwest part of RXJ1713.7-3946 was in the field of the ASCA Galactic Plane Survey Project, and was found to exhibit a shell-like structure. The spectrum, however, shows neither line emission nor any signature of a thermal origin. Instead, a power-law model with a photon index of 2.4--2.5 gives a reasonable fit to the spectrum, suggesting a non-thermal origin. Together with the similarity to SN 1006, we propose that RX J1713.7-3946 is the second example, after SN 1006, of synchrotron X-ray radiation from a shell of SNRs. Since the synchrotron X-rays suggest the existence of extremely high energy charged particles in the SNR shell, our discovery should have a strong impact on the origin of cosmic X-rays.
アインシュタインの一般相対性理論によって予言されている重力波については、1998年初期に群馬セミナーで話をしたことがある。その後東京・三鷹の国立天文台構内で建設を進めていた、干渉計型重力波検出装置TAMA-300は一応完成し、2年前からデータ取得を始め、9時間連続運転という世界記録を達成している。
ここでは重力波の性質、発生源について説明し、各国の装置(アメリカのLIGO、フランス・イタリアのVIRGO、ドイツ・イギリスのGEO-600、スペースのLISA、共振型の装置)の状況、TAMA-300の概要、その感度や問題点、今後の計画などについて述べる。
(概要情報なし)
(概要情報なし)
この30年程の間に、地上や衛星からの観測によって数々の興味深い赤外線天体が知られるようになってきた。 その中には時間変化を示す天体も少なくなく、その研究には短期、長期にわたる継続した観測が求められている。これまで赤外線観測は限られた観測施設でのみ可能であったが、ぐんま天文台では第一級の装置が用意されており、その活躍が期待されている。ここでは、進化した晩期型星を中心に、赤外線域での恒星の継続的な観測について提案する。恒星の末期進化の解明に加えて、銀河構造や遠方銀河の研究についての展望を議論してみたい。
天体力学の教科書では、小惑星の離心率や軌道面傾斜角は小さいと仮定している。その仮定のもとでは、永年摂動の理論は確立されている。ところが、実際に小惑星の軌道要素を見ると、離心率が0.4、軌道面傾斜角が40度といったものもある。そこで、摂動惑星は皆同じ軌道面上にあり、円軌道をえがいていると仮定すると、離心率や傾斜角の大きな小惑星は、教科書とは全く違う振るまいをすることが分かる。すなわち、離心率が大きく、遠日点が木星の外側に来る小惑星でも、軌道要素の変化のため木星に近づくことはない。しかし、彗星では、こんな機構が働かず、木星などによく接近する。こんなことを説明する。
MIRA-I.2は、30cm望遠鏡2素子30m基線の光赤外干渉計で、国立天文台三鷹キャンパス内に設置され、今年春頃のファーストライトを目指して立上げが進んでおり、主要なパーツはほぼ姿を現してきた。
各パーツを30m基線に設置する前に、全システムに点在する関所、特にtip- tilt鏡の高速遠隔制御・サイデロスタットの遠隔制御・光学系の遠隔調整など、を先に解決しておくことを主な目的として、望遠鏡周りの光学部品をアクセスの良い旧MIRA-Iの観測室内の6m試験基線に設置し、全システムの動作試験を行ないつつある。
MIRA-I.2は世界最高水準での干渉縞観測性能を目指し、先端レベルの技術修得と新しい学術的な成果が期待できる。限界等級4〜5等星、角度分解能力は 0.003秒角程度の範囲内で、主系列星を含む約50星の視直径、約30星の分光連星の軌道の決定、その他明るい恒星の星周活動、などが観測ターゲットである。
中小質量の星が進化するとAGB星と呼ばれる赤色巨星になることはよく知られている。AGB星は、ミラ型変光、大規模質量放出、メーザー放射、星周殻形成、炭素星化など、AGB現象と呼ばれる多彩な現象を経て、最終的には惑星状星雲になると考えられている。しかし、これらの現象をAGB星進化の立場でまとめることは大変難しい。
今回は木曾観測所と南アフリカ天文台における赤外変光観測に基づいてAGB現象を整理する試みについて述べる。主なテーマは次の3つである。
概要集: 1-10, 11-20, 21-30, 31-40, 41-50, 51-60, 61-70, 71-80, 81-90, 91-100, 101-110, 111-120, 121-130, 131-140, 141-150, 151-160, 161-170, 171-180, 181-190,