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過去のぐんま天文台談話会 #121-#130

(敬称略)

第121回 2007.2.6 18:00〜
橋本 修 ( ぐんま天文台 )
「ぐんま天文台可視高分散分光器GAOESの現状」

ぐんま天文台の150cm経緯台式反射望遠鏡のナスミス焦点(f/12.2)に設置された可視高分散分光器GAOES (Gunma Astronomical Observatory Echelle Spectrograph) の現状を報告する。GAOESの開発はぐんま天文台の設立当初より進められ、2003年の初頭より観測に用いられてきた。しかし、初期のCCDシステムでは、読み出しノイズが非常に大きく、また全面の読み出しには4分以上の時間を必要とし、性能的に十分満足できるものとは言い難い状況であった。しかも、動作が不安定になる場合も多く、実際の観測現場においては検出器周辺の動作が非常に深刻な問題となっていた。そこで、国立天文台で開発された Mfront2、および MessiaV を導入し、検出器性能の抜本的な向上を図った。その結果、4e程度の極めて低い読み出しノイズを実現しながら、かつ30秒を下回る時間で全面を読み出すことが可能になった。動作も極めて安定しており、GAOESの分光器としての観測性能は飛躍的に改善されるものとなった。

第122回 2007.2.20 18:00〜
松本 敏雄 ( 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 )
「近赤外背景放射で探る宇宙第一世代の星形成」

赤方変移 z 〜 1000(宇宙の中性化)からz 〜 7(最も遠方の銀河)の間はこれまで宇宙史の暗黒時代と呼ばれて来た。この時期には宇宙第一世代の星・銀河の形成が起きたはずであるが観測が難しかったためである。COBEおよびIRTSは近赤外領域( 1 〜 5mm )における背景放射を観測し、前景成分では説明できない超過放射成分を見出した。この放射光は z 〜 10で形成された宇宙第一世代の星(種族III)によるものと考えられ、WMAPによって得られた宇宙の再電離の時期とよく一致する。またIRTSや最近のSpitzerは背景放射が空間的に大きな揺らぎが持つことを示し、この結果は宇宙の構造形成に関わるものとして注目されている。観測の現状、問題点とともに今後の観測計画について報告する。

第123回 2007.3.6 19:00〜
中桐 正夫 ( 国立天文台 )
「天文台の便利屋稼業50年」

基礎科学の中でも最も古くから人類がいろんなことを考え、発展させた天文学という学問を研究する天文台に、高校卒で就職し、夜学に学び、職場で学び、多くの仲間とともに精一杯、天文台の便利屋として、46年間(たぶん50年間になる)たいへん楽しく、面白く働いた経験談を話します。

私がかかわったのは主に観測機器開発で、紫外線、光学、赤外線領域の観測天文学および太陽物理学に関係したものです。紫外線領域はロケットに観測装置を載せ大気圏外に打ち上げ、赤外線で行う観測装置は大気球に載せて大気圏上層に飛ばしました。大型光学赤外線望遠鏡は世界規模で観測条件のよい場所を探し、数百億円の巨費を投じ「すばる」を完成させる仲間にいました。最後は太陽観測工衛星開発に携わり「ひので」を成功させ天文台での人生を終わるつもりが、天文情報センターで天文台の公開拡大事業に駆り出されて、便利屋稼業は50年に及ぼうとしています。

第124回 2007.4.17 19:00〜
関口 和寛 ( 国立天文台 )
「すばる/XMM-ニュートンディープ・フィールドの多波長サーベイと超遠方( z=7 )銀河探査」

この観測プロジェクトでは、秋の南天にあるクジラ座の中に( 中心座標:赤経2時18分、赤緯-5度00分 )約1.3平方度( 天空上で月の面積の約7倍の領域。ハッブル宇宙望遠鏡ディープフィールドの約850倍の面積 )を多波長深探査しています。銀河分布の偏りの無いなるべく平均化された情報をこの観測から集めることが出来ます。また、X線から電波におよぶ広い波長域で観測して、この領域内の約100万個の銀河について距離を推定し、宇宙の立体地図を作成します。さらに多波長の情報を活かすことで、宇宙に存在する多様な性質を持った銀河のほとんどすべての種族について、それらの形成、成長、形態変化等の過程を、宇宙の広い範囲を見渡して調べることが可能になります。特に、すばる望遠鏡と英国赤外線望遠鏡(UKIRT)を使った深撮像により、宇宙再電離直後の銀河を見つけ出すことにより、宇宙初期から現在にいたる銀河および宇宙の構造進化の全容を明らかにするとともに、宇宙論モデルに対する強力な制約を与えることができると期待しています。

第125回 2007.5.8 19:00〜
野田 学 ( 名古屋市科学館 )
「公開天文台とプラネタリウム」

名古屋市科学館にはドーム径が20mのプラネタリウムと口径65cmの望遠鏡があります。まずプラネタリウムで星の世界や宇宙に誘い、大望遠鏡を使った観望会で本物の姿を見てもらう。そしてさらに興味を持った人には、星がよく見える場所の公開天文台などを紹介する・・・そんなコンセプトを継承しつつ、2010年度をめどに名古屋市科学館の建替えの計画が進んでいます。天文の教育施設はいかにあるべきか、何が求められているのか、新館構想をまとめながら思ったり考えたりしたことをお話ししたいと思います。

第126回 2007.5.22 19:00〜
中村 理 ( 早稲田大学 )
「SDSSにおける銀河形態カタログプロジェクト」

銀河には、楕円型、渦巻型などの形態がある。銀河の性質は、この形態にある程度依存している。銀河の形成と進化を理解するには、この関係を詳しく調べることが重要である。そこで我々は、SDSSのある領域から比較的明るい銀河を2200個あまり抽出し、眼視による形態分類を行い、カタログ化した。SDSSは北天における低赤方偏移銀河のサーベイプロジェクトで、均一で精度の高い撮像データと分光データの両方を備えるのが特徴である。すでに我々は、このカタログを用いて、銀河の色、光度関数、星生成率の形態依存性や、楕円銀河における速度分散と光度の関係、特異な楕円銀河などを研究してきた。この講演では、カタログの詳細と、これらの成果について報告する。

第127回 2007.6.5 19:00〜
秋田谷 洋 ( 国立天文台 )
「高分散偏光分光で探る低質量前主系列星の星周構造」

我々は、独自に開発・製作したエシェル偏光分光装置 LIPS(りっぷす)をハワイ大2.2m望遠鏡で用い、分解能R〜9000(速度分解能〜35km/s)にて、複数の低質量前主系列星(T Taur i型星)の高分散直線偏光スペクトルを取得した。そして、ジェット・ウィンド起源とされる[OI]λ6300禁制線をはじめ、多数の輝線・吸収線に同種天体として初めて固有の直線偏光を検出した。従来、これらの天体星周の物質分布・運動については、輝線・吸収線の強度スペクトルを用いた理解が進んでいる。それに加えて、我々が取得した直線偏光スペクトルは、星直近の星周構造の幾何を強く反映する新しい情報となる。本講演では、LIPSを用いた低質量前主系列星の偏光スペクトル測定の成果、および、LIPSの開発と現状について紹介する。

第128回 2007.6.26 19:00〜
Desima Kristyowati ( バンドン工科大学 )
「Photometric and Spectroscopic Studies of BW Eri」

Since its founding (Hoffmeister, 1936), BW Eridani (BW Eri), a 10th-magnitude short period eclipsing binary (0.6384777 days), has received little attention over the past two decades. New CCD photometric and spectroscopic studies of eclipsing binary BW Eri are presented. BVRI photometric observations were carried out using Bosscha's 20-cm (f/10) GAO-ITB Remote Telescope System in 2006 and 28-cm (f/10) Schmidt-Cassegrain telescope in 2007. Low-resolution spectra ( R = 400 ~ 500 ) were obtained with Bosscha's 45-cm (f/12) GOTO Telescope equipped with Bosscha Compact Spectrograph (Malasan et al., 2001b) in optical window. The investigation of B, V, R, I light curves by fitting method yields in temperature 7480±2950 K and 5200±875 K, fractional radii 0.491±0.126 and 0.280±0.135, for the primary and secondary components, respectively. An inclination 89±2.2 is also deduced. At the orbital phase of 0.955 and 0.511 the star's spectrum is consistent with spectral type G8V for the secondary and A7V for the primary, respectively.

Currently there is no published radial velocity data for BW Eri yet. Since it is observable from GAO, it would be invaluable to carry out spectroscopic observations using GAO's instruments. The 65-cm telescope combined with Gunma Compact Spectrograph working on high resolution would be sufficient to obtain the radial velocity curve.

第129回 2007.10.2 19:00〜
船山 日斗志 ( 神戸大学 )
「プレアデスに属する恒星の金属量の測定」

近年の太陽系外惑星の研究から、銀河系内に存在する恒星の約10%が惑星を持ち、それら恒星の多くは鉄を多く含んでいることが示唆されています。惑星を持つ恒星の形成過程を探りたいと考え、我々は、一つの分子雲から生まれた恒星の集合体である散開星団に注目しています。その理由として、銀河系の恒星のほとんどは星団の一員として生まれると考えられているからです。散開星団に属している恒星の鉄の量(金属量)を測定して、散開星団の金属量の一様性を評価することで、高い金属量を持つ恒星の形成を知ることができると考えています。これまで、ぐんま県立天文台と岡山天体物理観測所にて、プレアデス星団に属する恒星の高分散分光観測を行って、金属量を測定しました。本講演では、解析結果と今後の課題について報告いたします。

第130回 2007.10.16 19:00〜
Nguyen Quynh Lan ( ハノイ国立教育大学 )
「Self Interacting Dark Matter in the beyond standard model」

It has recently been pointed out that the 511 keV emission line detected by INTEGRAL/SPI from the bulge of our galaxy could be explained by annihilations of light dark matter particles into e+ e-. We present the possibility that dark matter could be made of scalar candidates, namely , of the Higgs bosons in the models based on SU(3)C × SU(3)L × U(1)N (3-3-1) gauge group. These particles are singlet of the SU(2)L × U(1)Y group, so they do not interact with the ordinary particles, except the Higgs boson in the standard model. The Spergel-Steinhardt condition for self-interacting dark matter gives a bound on the mass of the candidates to be a few MeVs. Besides the scalar candidates, which exist in both non-SUSY and SUSY 3-3-1 models with right-handed neutrinos, the spin 1/2 candidate exists in a variant 3-3-1 version with exotic neutral lepton. In contrast to the singlet models, where an extra symmetry must be imposed to account the stability of the dark matter, here the decay of the candidates is automatically forbidden in all orders of perturbative expansion. This is because of the following feature: these scalars are singlets, i.e., in bottom of the Higgs triplet. Therefore, the standard model fermions and the standard gauge bosons cannot couple with them.

講演者と題目の一覧

概要集: 1-10,  11-20,  21-30,  31-40,  41-50,  51-60,  61-70,  71-80,  81-90,  91-100,  101-110,  111-120,  121-130,  131-140,  141-150,  151-160,  161-170,  171-180,  181-190,

今後の予定