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過去のぐんま天文台談話会 #11-#20

(敬称略)

第11回 2001.2.20
関井 隆 ( 国立天文台 )
「日震学の現状と展望」

太陽表面の振動・波動現象からその内部構造を探るのが「日震学」である。近年、地上観測ネットワークや科学衛星による新しい観測により、この分野は急速な発展を見せている。日震学によって明らかになって来た太陽の球対称構造や自転構造について報告し、今後の発展の方向を論じる。

第12回 2001.3.6, 17:00〜
辻本 拓司 ( 国立天文台 )
「金属量超欠乏星から探る銀河の化学進化」

超新星爆発後その超新星残骸で掃き集められた密度の高いガス塊から星が生まれる、つまり超新星爆発で星形成が誘発されるというシナリオに基づいた銀河系ハローの化学進化モデルを紹介する。このモデルによって、ハローで観測されている星の重元素量頻度分布と同時に、従来の化学進化モデルでは説明することのできなかったハロー星の化学組成の非均一性に初めて理論的解釈を与えることができる。

第13回 2001.3.21
B. Soonthornthum ( Sirindhorn Observatory )
「Astronomical Activities in Thailand」

Astronomical activities in Thailand have been developed to some certain levels during the past few decades. Main activities are focused in teaching, research and pubic services. Due to budgetary limitations and the stage of development in science in the country, only small telescopes and facilities are available in Thailand. Howevr, many efforts have been put into using these small telescopes to the best of their capabilities in teaching research and public service.

Sirindhorn Observatory, Chiang Mai University is the only observatory in northern Thailand which plays an active role in astronomical activities. The major instruments are the 0.4 and 0.5-meter reflecting telescopes with standard wide and intermediate bands photoelectric photometers, CCD Photometers and a CCD spectrograph. Major research at the observatory emphasizes the study of physical properties and evolution of close binary systems. International collaborations in astronomical research works are needed to raise up Thailand's future development in astronomy.

第14回 2001.4.3, 17:00〜
河北 秀世 ( ぐんま天文台 )
「可視高分散分光でさぐる彗星の起源」

彗星は太陽系が誕生した時の名残をとどめる始源的天体であると言われます。その組成は、揮発性物質(主成分はH2O氷)と不揮発性物質(ダスト)からなり、これらが質量比にして1〜10程度の割合で混じっていると考えられています。この彗星核が原始太陽系円盤中で、どのような環境において形成されたものであるかを調べることは、原始太陽系円盤の物理/化学進化を探る上で非常に興味深いことです。講演では、昨年7月にすばる望遠鏡+HDS(高分散エシェル分光器)で得られたLINEAR彗星(C/1999S4)の高分散スペクトルから求めた、NH3氷の生成温度について報告します。今回の解析で得られた結果は、Hale-Bopp彗星などで得られているH2O氷の生成温度などと近い値となっています。

第15回 2001.4.17, 18:00〜
安田 直樹 ( 国立天文台 )
「スローン・デジタル・スカイ・サーベイの現状と成果」

スローン・デジタル・スカイ・サーベイは日本とアメリカが共同で進めている専用望遠鏡による光学域での大規模撮像分光サーベイである。北銀極方向の全天の約4分の1を5色で撮像し、その中の100万個の銀河の分光を行なう計画である。この計画により近傍の(z)銀河のデータは桁違いに増大することが期待されている。1999年5月にファーストライトを迎え、望遠鏡、観測装置、解析ソフトウェアの調整を進めるとともに、この期間に得られたデータでさまざまな研究成果が得られている。本講演では計画の概要、進捗状況と最近の成果についてレビューする。最近の成果のうち発表者が中心になって行なった銀河計数については詳細に報告する。

第16回 2001.5.8, 18:00〜
鶴 剛 ( 京都大学 )
「スターバースト銀河M82の中質量ブラックホールと膨張分子雲の発見」

これまで様々な観測から、超新星爆発から誕生する10 Mo 程度の恒星質量ブラックホールと、10^6 - 10^9 Mo の質量を持つ銀河中心の巨大ブラックホールの 2種類のブラックホールの存在が知られていた。我々はX線天文衛星「あすか」と「チャンドラ」を用い、スターバースト銀河M82を観測したところ、 X線光度 10^41 ergs/s に達し、3時間で時間変動するX線源が銀河中心から 140 pc に離れたところ存在していることを発見した。X線光度、変動のタイムスケールなどから、このX線源はこれまで存在が知られていなかった 10^3 - 10^6 Mo の質量を持つ中質量のブラックホールであることが分かった。さらに、我々は野辺山ミリ波干渉計の観測から、10^55 ergs のエネルギーを持つ、直径 210 pc、膨張速度 100 km/s の膨張分子雲発見した。我々はさらに、この膨張分子雲がブラックホールを中心に存在することを発見した。以上より、M82の中質量ブラックホールは、超新星 10^4 個分の爆発を伴う 10^6 yr 前のスターバーストによって作られたと考えられる。我々は、このブラックホールがさらに周りの恒星やガスを飲み込みながら、ダイナミカルフリクションにより、銀河中心に落ち、銀河系中心の超巨大ブラックホールに進化するものと考えている。講演では、「すばる」望遠鏡による近赤外の観測結果やハイパーノバとの関係などについても述べる。

第17回 2001.5.22, 18:00〜
郷田 直輝 ( 国立天文台 )
「高精度アストロメトリ観測で拓く宇宙物理学および日本での赤外線スペースアストロメトリ計画について」

銀河系内のできるだけ遠くかつ広範囲な星の距離・位置・運動を正確に決定することが様々な天文学の発展につながる。つまり、この位置天文(アストロメトリ)観測によって得られる情報は銀河系の力学構造はもとより、星の形成・進化、銀河の形成・進化、果ては宇宙論に至るまで、様々な宇宙物理学の展開を可能とする最も基本的なものである。

さて、1989年にヨーロッパ宇宙機関から打ち上げられた位置天文衛星「ヒッパルコス」が、スペースから初めて星の距離(年周視差)を1ミリ秒角の精度で観測したことは、革命とも言えるべきできごとであった。しかし、信頼できる距離決定に必要な相対誤差10%以内で測られている星は、まだ 100pc 以内にあるほんのわずかなものにすぎない。従って、宇宙論を含め、様々な問題が未解決のままである。実際、銀河系全体を知り未解決問題を解くためには、少なくとも10万分の1秒の観測精度が必要である。このような状況下、高精度観測を目指して、日本における地上での電波位置天文観測であるVERA計画をはじめとし、欧米では可視光によるスペースアストロメトリ計画が4つほど進行中である。そこで、本講演では、今後の高精度アストロメトリ観測で展開されるであろう天文学、宇宙物理学のサイエンスのoverviewとともに、国内外で進行中の観測計画についても紹介する。さらに、日本独自の新しい計画として、近赤外線(Kバンド)での高精度スペースアストロメトリ観測を検討中である。この計画の概要も紹介する予定である。

第18回 2001.6.5, 18:00〜
田中 済 ( 三菱電機 / 元国立天文台 教授 )
「大気差について」

日没の太陽がひしゃげて見えることはよく知られている。これは大気の屈折による浮き上がりが低いほど大きくなって、太陽が上下に押しつぶされて見えることによる。これを大気差というが、大気差は天頂を除いてすべての高度角に対して作用している。

ここでは大気差がなぜ生ずるかから始まって、大気差の計算法、特に地平付近の計算のために光線の曲率の概念を導入し、これから導かれる面白い結果について話をする。

項目−大気差とは−大気差の近似計算−地平大気差の計算−光線の曲率の概念−地球を一周する光線−金星での大気差−高い山から見た地平大気差−人工衛星から見た大気差

第19回 2001.6.19, 18:00〜
小笹 隆司 ( 北海道大学 )
「超新星爆発時に放出されたガス中でのダスト形成」

超新星爆発時に放出されたガス中でのダスト形成は、隕石中で発見された重元素の同位体異常の問題と関連して古くから考察されていた。天体観測により爆発時におけるダスト形成が確認されたのは超新星1987Aが最初である。最近では、隕石中から抽出された個々のダスト粒子の同位体組成の測定から超新星起源のダスト粒子が同定されている。星間塵の供給源としての超新星の役割は現時点では大きくないが、宇宙初期においては超新星は唯一のダスト供給源であり、形成されるダストの種類と量の解明は宇宙の観測的研究と密接に関連した重要な研究課題である。本講演では、超新星爆発時に放出されたガス中でのダスト形成に関わる最近の話題を紹介し、ダスト形成を考察する際に留意すべき問題点と最近の計算結果につい述べる。

第20回 2001.7.3, 18:00〜
山本 哲生 ( 名古屋大学 )
「星間ダストと隕石粒子とのリンク」

星間麈の組成や構造は,従来,天文観測,および実験室実験や理論的手法によって研究されてきた.その対象は星間分子雲や種々の進化段階にある星から彗星ダストや惑星間麈等の太陽系内のダストに及んでいる.近年これらに加えて,炭素質隕石中の粒子の同位体分析から,太陽系組成とは異なる同位体組成をもった粒子が多数検出されてきた.これらの粒子は presolar grains と呼ばれ,太陽系形成時に生き残った星間ダストであると考えられている.その同位体組成と星における元素合成の理論との比較から,presolar grains の生成源として,AGB 星,超新星,新星等が候補にあがっている.

Presolar grainsが太陽系形成時に生き残った星間麈であることが実証できれば,星の周りで形成されその後の進化のなれの果てである惑星の素材となった星間ダストをわれわれは手にしていることになる.Presolar grains の研究と天文観測との結合によって,星間ダストの特性が格段に明確になるとともに,その生成から惑星系形成に至る星間ダストの進化の解明において新しい手段が得られることが期待される.

しかし,隕石中の``presolar'' grainsが本当にpresolarであることを検証し,上記の候補天体で生成されることを実証する必要がある.すなわち,炭素質隕石中で観察されている特性(構造,組成,サイズ)をもつダスト粒子の生成がこれらの天体で実際に可能なのかどうかを系統的に検討せねばならない.

セミナーでは,この研究の一環として,AGB 星における presolar grains の生成過程とその特性(塵粒子の構造:サイズ,組成分離),および生成環境についてのわれわれの最近の研究について紹介する。

講演者と題目の一覧

概要集: 1-10,  11-20,  21-30,  31-40,  41-50,  51-60,  61-70,  71-80,  81-90,  91-100,  101-110,  111-120,  121-130,  131-140,  141-150,  151-160,  161-170,  171-180,  181-190,

今後の予定