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過去のぐんま天文台談話会 #81-#90

(敬称略)

第81回 2004.10.19, 19:00〜
Hakim L. Malasan, Agus Triyono P.J. ( ITB )
「High-resolution Spectroscopy of CD Tau: An Eclipsing Binary with Similar Components」

This talk presents spectroscopic analysis of the detached eclipsing binary CD Tau. CD Tau ( HD 34335, HIP 24663 ) is a bright eclipsing binary ( Vmax=6.75 ) composed of two similar F6V stars which was suggested as a possible member of a triple system.

Riba et al.(1999) have analyzed radial velocity curve along with published light curves to derive absolute dimensions and effective temperature of the components. Furthermore, these fundamental properties of the eclipsing components were compared with the predictions of evolutionary models, and a good agreement for an age of 2.6 Gyr and a chemical composition of Z=0.026, Y=0.26 have been deduced. Follow up high-resolution spectroscopy has been suggested by them.

Echellograms of CD Tau have been obtained on January 18th 2000 using High-Dispersion Spectrograph (HIDES) attached to 188 cm reflector at Okayama Astrophysical Observatory. Observation conducted during brightest phase of moon yielded in a high-resolution echellogram with a mixture spectra of CD Tau and moon. The echellograms are of rather low S/Ns. Data analysis scenario comprises of the usage of IRAF task packages along with the employment of a modern spectral synthesis program, has been constructed to determine spectroscopic outcomes, i.e. heliocentric radial velocities of components, systemic velocity, equivalent width and chemical composition.

第82回 2004.11.2, 18:00〜
茂山 俊和 ( 東京大学 )
「Low α金属欠乏星の起源」

Low α金属欠乏星とは[Fe/H] < -1の金属欠乏星のうちその表面元素組成でC, O, Ne, Mgなどの元素の量と鉄の量の比が銀河系ハローに属する星の平均値よりかなり小さい星のことである。我々はこれまでの観測結果から、銀河系に属するLow α星とされる星は全て表面重力が大きい矮星であることを示し、惑星のような固体を飲み込み表面が汚染された結果であると主張した。一方、最近の大型望遠鏡を用いた分光観測により、近傍矮小銀河に属する最も明るいいくつかの星(赤色巨星)の表面元素組成が得られるようになった。これらの星の中にも Lowα金属欠乏星がある。これらの星の観測をもとに矮小銀河での化学進化を探る試みがすでになされている。ここでは、我々が考えた化学進化モデルと生田・有本によるモデルを紹介し、それぞれがどのようにlow α星の起源を解釈しているかを説明し、今後に残された課題に触れたい。

第83回 2004.11.16, 18:00〜
藤井 高宏 ( 国立天文台/鹿児島大学 )
「鹿児島大学1m光赤外線望遠鏡によるAGB星の研究」

鹿児島大学では、2001年に1mの光学望遠鏡を完成させた。この望遠鏡は、国立天文台がすすめるVERAプロジェクトの観測局のひとつであるVERA鹿児島入来局20m電波望遠鏡に隣接されており、VERAプロジェクトと協力して、銀河系内のミラ型変光星を代表とするAGB長周期変光星の周期光度関係を検証することを、ひとつの大きな目的としている。( 天体までの距離をVERAで決定し、天体の光度変化(周期と平均光度)を1m望遠鏡で決定する。)

そのため2003年から、近赤外カメラを導入しVERAプロジェクト天体の近赤外光度モニター観測を開始した。また、この観測と並行して、今後決定される周期光度関係を適用し銀河系内のAGB星の分布を調べるために、IRAS天体に対して変光のサーベイとモニターもおこなっている。望遠鏡本体と観測装置の制御システムを改良した結果、ほぼ自動的な観測が可能になり、現在のところ約1000天体のモニター観測を定常的におこなっている。

この講演では、1m望遠鏡の観測システムと現状と現在すすめているAGB星の研究について紹介する。( 時間が許せば、今後行う予定の近赤外C2吸収バンドを用いた炭素星サーベイ観測についても言及したい。)

第84回 2004.11.30, 18:00〜
藤原 智子 ( 九州大学 )
「歴史的星表を使った恒星の長期間変動の探査」

写真乾板を使った恒星の測光観測が始まったのは、今からまだ100年余り前の事である。我々は、それより以前若しくは更に長いタイムスケールでの天体現象を探査する為、Ptolemaios の Almagest ( AD140年頃 )を始めとし、7つの歴史的星表に残されている恒星の等級データを分析した。まず、それぞれの記録の観測の独立性、データの信頼性を調べ、等級システムを検証した。その後、記録された各恒星の等級を相互比較して変動を調べた結果、大部分の星は殆ど変動を示さない中で、大きな変動をしている星が幾つか存在する事が分かった。これらの星の等級変動の大きさは、それぞれの記録の観測誤差を考慮しても非常に大きい。本講演では歴史的星表それぞれの特色と等級データの誤差の評価、長期間変動の候補天体とその物理的特性を紹介する。

第85回 2004.12.14, 18:00〜
竹田 洋一 ( 国立天文台 )
「Post-AGB星の表面化学組成異常につい」

Post-AGB星は中小質量星の生涯の終末期の段階で、AGB(漸巨星枝)星から白色矮星に進化移行する途中の天体です。質量放出、星周圏形成、進化に伴う外層混合、ダスト−ガスの分離、などの物理過程が複雑に絡んでおり、化学組成や力学的不安定性などの点で特異な徴候を示し、非常に面白い対象です。ぐんま天文台のGAOES分光器が立ち上がったのを契機として、私は今年から橋本さん、田口さん、吉岡さん達と共同でこのPost-AGB星の高分散分光観測に取り組み始めました。Post-AGB星の特徴の簡単なレビュー、表面化学組成の異常を調べることを当面の目的とする本研究の目標、この夏から秋にかけての実際の観測経験から感じたGAOESへの期待や解決すべき問題点、などをお話ししたいと思います。

第86回 2005.1.18, 18:00〜
富谷 光良 ( 成蹊大学 )
「リモートセンシング画像データの現状と修正対向伝搬法による分類手法」

人工衛星搭載の観測機器により地表および大気の放射する電磁波を取得したリモートセンシングデータは、雑多な環境変化や人の活動による影響を受けているため、解析結果の客観性をいかにして向上させるかが絶えず課題とされている。それには、ノンパラメトリックな手法やあるいはニューラルネットワーク等が有望とされている。

リモートセンシングの簡単な概要について触れた後、衛星画像データ処理の現状とそしてニューラルネットワークの一種である修正対向伝搬法( ModifiedCounter-Propagation: MCP )による分類手法について解説する。

第87回 2005.2.1, 18:00〜
安藤 裕康 ( 国立天文台 )
「視線速度を高精度で測る - その道のりと未来 -」

1995年の太陽系外惑星の発見のニュースは天文関係者だけでなく社会一般へ衝撃を与えた。天体の視線速度は、元素の吸収線あるいは輝線の波長がドップラー効果によって実験室とどれだけ差が出るかを測定することで測ることができる。原理は簡単であるが、高い精度で測定するにはそれなりの工夫が必要である。

今回の講演では、視線速度の測定方法がどのように進展し、今日の毎秒数十m〜数mの精度が得られるようになったかレビューし、将来への展望( 例えば、地球型惑星を発見するに必要な毎秒数cmの精度を出す試み )についても述べてみたい。

第88回 2005.2.15, 18:00〜
Baju Indradjaja ( バンドン工科大学 )
「Irradiation Effect on the Accretion Disc around Compact Stars: an Evolution Study」

Accretion disc is quite common on binary systems. On close binaries, the result of gravity potential energy release is manifested as X-ray; such systems are called X-ray binaries ( referred here as XB ). Depending on the X-ray characteristics, there are persistent and transient sources. The transient characteristic is associated with the unstable condition where the accretion disc is undergoing the limit cycle process.

From the statistics of XB observations, we found that persistent sources are dominated by neutron star XBs, while the transients are dominated by black hole XBs; these are on the contrary with theoretical results. Van Paradijs found that if we count the irradiation in, both are in agreement. From the standard model of accretion disc, one can get the relation of temperature, distance, and accretion rate ( without irradiation: T^4 ~ (dM/dt) R^{-3}, with irradiation: T^4 ~ (dM/dt) M R^{-2} ) and derive the relation between accretion rate and system period, so the XB characteristics along its evolutionary stages are known.

I reviewed van Paradijs' work, run simulation using Eggleton's evolutionary code ( which is based on ideal gas equation ) and compare the result with King, Kolg & Burderi's results ( based on bipolytrop model ). Both are in agreement each other and support van Paradij's statement.

第89回 2005.3.1, 19:00〜
嶺重 慎 ( 京都大学 )
「ブラックホール天文学入門」

かつて純粋に理論上の(空想の?)産物であったブラックホールは、今や観測にかかる、現実の天体となりました。私たちは、今まさに「ブラックホール物理学」の時代から「ブラックホール天文学」の時代に突入しつつあるのです。

本講演では、「ブラックホールを天文する」をテーマに、私たちのグループの最新の研究成果を紹介します。具体的なトピックは

  1. ブラックホール磁気降着流と噴出流(ジェット)
  2. 超臨界降着の理論と観測
  3. ブラックホールはどう見える?

難しい数式を使わず、絵を使ってできる限りやさしくお話しますので、ふるってご参加下さい。どんな質問も歓迎します。

第90回 2005.3.15, 19:00〜
杉山 直 ( 国立天文台 )
「宇宙マイクロ波背景放射で探る宇宙の現在、過去、未来」

宇宙論における大きなテーマの一つが、宇宙の進化を記述する宇宙論パラメターの決定である。これらは宇宙の膨張速度、宇宙の密度などを表す量であり、観測によって決定する必要がある。最近、宇宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎに、これらの宇宙論パラメターの情報が含まれていることが理論的に明らかにされ、人工衛星をはじめとする多くの観測が行われるようになった。1989年に打ち上げられたCOBE衛星によって、温度揺らぎが初めて測定され、2001年に打ち上げられたWMAP衛星によって、さらに詳細に温度揺らぎの測定が行われた結果、宇宙論パラメターが精密に決定されるに至った。本講演では、宇宙マイクロ波背景放射についての解説、またなぜ宇宙論パラメターが決定できるのか、そしてその結果明らかにされた宇宙の姿、などについて解説を行う。

講演者と題目の一覧

概要集: 1-10,  11-20,  21-30,  31-40,  41-50,  51-60,  61-70,  71-80,  81-90,  91-100,  101-110,  111-120,  121-130,  131-140,  141-150,  151-160,  161-170,  171-180,  181-190,

今後の予定