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過去のぐんま天文台談話会 #41-#50

(敬称略)

第41回 2002.7.9, 19:00〜
山村 一誠 ( 宇宙科学研究所 )
「ISOが見つけた奇妙な星々: 彼らはなぜ特異な進化を遂げたのか?」

赤外線宇宙天文台ISOによって我々が観測した、奇妙な星々を紹介する。これらは皆恒星の進化の末期にある天体である。太陽の数倍程度までの質量の星は、その進化の末に漸近巨星枝(AGB)と呼ばれる段階に達する。この段階で、星の表面の物質が宇宙空間に流れ出す、質量放出という現象が起きる。やがて星の燃料である水素を失ってしまった星は、小さく縮まり、高温になるが、このときに周囲に漂っているガスが照らされて見えているのが、惑星状星雲である。質量放出など星の終末期に起きる現象は、様々な条件に敏感に影響され、一つ一つの星が個性豊かな進化を遂げる。赤外線は、このような星の表面や周囲にある分子やダストの状態を捉え、これらの天体の性質を詳しく探るのに最適な手段である。ところが、地球の大気が邪魔をするために、地上からはごく一部の波長範囲しか観測できない。ヨーロッパが打ち上げた赤外線宇宙天文台ISOは、大気圏外からの観測によって2〜200 ミクロンという広大な波長範囲をカバーし、膨大な観測データを取得した。我々は、ISOの観測装置の一つである短波長分光器(SWS)によって、数多くの進化末期にある天体のスペクトルを観測し、解析を進めてきた。その中には、これまでの地上からの観測では分からなかった特異な性質を示すものがいくつも見つかった。それらの多くは連星であると考えられている。今回は、これら特異な性質を示す天体を紹介し、その進化についての研究の現状を紹介したいと思う。

第42回 2002.8.27, 11:00〜
海老沢 研 ( INTEGRAL Science Data Center, ジュネーブ )
「Chandra衛星による銀河面のディープサベイ」

銀河面からの硬X線(2-10 keV)放射の存在は、20年以上前から知られていたが、その起源は謎であった。私たちは、Chandra衛星を用いて、銀河面の明るいX線点源が存在しない領域の硬X線によるディープサベイを行った。その結果、~500平方分の領域から、過去の衛星の検出感度以下の274個(4 sigma)の新たなX線点源を発見した。これらのX線源のフラックスを加算しても、視野中の全X線フラックスの~10%に過ぎず、銀河面からの硬X線のほとんどは、広がったプラズマ成分であることがわかった。また、硬X線点源の表面密度は、高銀緯領域における値とほぼ同じであった。これは、検出された硬X線源の多くは背景の銀河系外天体で、Chandra衛星の検出感度においては、銀河系内の硬X線天体は、ほぼ検出し尽くしていることを示している。一方、約10個のの軟X線源からはフレア的な時間変動が検出され、これは軟X線源の多くが近傍の晩期型星であることを示唆する。

第43回 2002.9.3, 19:00〜
西原 英治 ( ぐんま天文台 )
「NTT/SOFIによる銀河面Chandra天体の赤外観測 -- 南米チリESO La Silla観測所出張報告 --」

海老沢たちがX線天文衛星Chandraを使って行った銀河面ディープサーベイによって、多数のX線源が発見された (第42回談話会: Chandra衛星による銀河面ディープサーベイ 参照)。これらのX線源は、銀河面における吸収のため光学対応天体が見つからず、未公開の2MASSのデータを用いても赤外対応天体が全体の1/3程度見つかっているだけで、特に硬X線源は全く同定されていない。我々はこれらの銀河面X線源の性質を調べるため、南米チリにあるESO ( European Southern Observatory: ヨーロッパ南天文台) La Silla観測所の口径3.5メートルNTT ( New Technology Telescope ) と近赤外多目的観測装置SOFI (Son of Issac) を用いて、Chandra銀河面ディープサーベイ領域のJ, H, Ksバンドの広帯域撮像観測を行った。これらのデータは現在まだ解析を行っている段階であるが、硬X線源も含めてかなりの対応天体が検出できているようである。今回の談話会は、この観測で見聞してきた話題もなるべく多く含めて、できるだけ平易な言葉を使って行いたいと思っている。一般の方の参加を広く歓迎する。

第44回 2002.9.18, 19:00〜
浜根 寿彦 ( ぐんま天文台 )
「19P/Borrelly彗星の分光観測」

2001年9月22日(世界時)、NASAの技術試験衛星Deep Space 1 (DS1)が短周期彗星19P/Borrellyに距離2171kmまで接近し、可視撮像、近赤外分光、イオン分析などを行った。しかし、DS1には可視分光器や狭帯域フィルターがなく、これらを用いた観測によってコマ中のガスの化学組成を求めることができなかった。Borrelly彗星については過去数回の回帰時に地上からの可視分光観測がなされており、ガスの化学組成が求められているが、彗星は一般にバースト等の突発的な変化を起こすことがしばしばある。そのため、DS1接近時に得られたデータを解釈するには、データ取得時のBorrelly彗星の状態を明らかにしておく必要がある。そこで、我々はDS1の最接近に合わせ、ぐんま天文台65cm望遠鏡と小型分光器を用いて、Borrelly彗星の可視分光観測を行った。今回の談話会はその結果を報告するとともに、できるだけ平易な言葉を使って太陽系小天体の探査と地上観測について紹介したいと思う。一般の方の参加を歓迎する。

第45回 2002.10.22, 19:00〜
中島 潤一 ( 通信総合研究所 )
「VLBI入門 〜 世界最先端の状況」- 埋もれた星の電波が見えてくる。その秘密とは ? -

VLBIは離れた電波望遠鏡を使って同じ星を観測、データを処理して著しい分解能で天体の性質を明らかにしたり、その逆に星からの電波の遅延を使って地球の回転運動やなども調べられる観測技術である。電波天文的には宇宙初期にあるような天体(クェーサーなど)が明らかにできるので有用である。

このVLBI技術は現在、世界に対しても日本が技術先行している分野である。また、特に広帯域VLBIという受信機の性能を引き出す高感度観測では通信総研は世界トップを走っている。デジタル的には世界で最高感度の望遠鏡を持っていることに相当する。

しかし、光学望遠鏡と違い、電波望遠鏡の取るデータは一般にピンとこないのが常である。講演の中では、できるだけ簡単に説明を試みる。また、電波天文学におけるVLBIはこれまで、電波干渉計のさらに一歩先にある難しい技術として鎮座していたが、IT技術の進化によって、一般のPCを使ってもVLBIが可能になってきた。大学や公共天文台で実践できるVLBIプロジェクト案を提示する。

第46回 2002.11.12, 18:00〜
児玉 忠恭 ( 国立天文台 )
「宇宙の進化を俯瞰する」

すばる望遠鏡は他に類を見ない30分角の広視野を誇る可視光撮像カメラ( Suprime-Cam )を持ち、数年後には、近赤外の広視野撮像分光装置( MOIRCS や FMOS )が続々と登場します。これらの優れた観測装置によって、我々が今までハッブル宇宙望遠鏡(HST) などにより竹筒を通して垣間見ていた遠方宇宙を、魚眼レンズでもって俯瞰することができるようになったのです。本講演では、これらのユニークな広視野観測装置を用いて、様々な時代の銀河宇宙を俯瞰し、銀河・銀河団スケールの形成・進化の様子を実証的に描写してゆく戦略を概説します。

第47回 2002.11.15, 16:00〜
Prof. John Hearnshaw ( University of Canterbury )
Techniques for the detection of planets beyond our solar system

In this talk I will review the different techniques for the detection of planets beyond the solar system. In addition I will discuss a new Doppler program at Mt John in New Zealand for planet detection by the radial velocity method. This program uses a new fiber fed echelle spectrograph called Hercules installed in a large vacuum tank for high stability. I will discuss the design and construction of Hercules, which was built at University of Canterbury 1998--2000. Finally I will discuss the prospects for the next ten years for planet detection from space using a number of the different techniques available. Several spacecraft are currently planned with the aim of finding new planets, including those of Earth mass.

Unfortunately I don't speak Japanese, so my talk will be in English ( but I will speak slowly ! ).

第48回 2002.11.26, 18:00〜
小峰 和重 ( 高崎市少年科学館 )
「街中の小さな天文台とプラネタリウム」

光害真っ直中の高崎市内にある口径30cmの小さな反射望遠鏡で行ってきた、18年間の足跡を紹介。また、プラネタリウムと連携した活用法について。

第49回 2002.12.10, 18:00〜
谷口 義明 ( 東北大学 )
「銀河の育ち方」

私たちは1000億から2000億個もの星々から成る巨大な天の川銀河に住んでいます。のような銀河が宇宙には1000億個もあるのですから本当に宇宙は広くて大きいと思います。では、銀河とは一体なんでしょうか?何時生まれたのでしょうか?どうやって育ってきたのでしょうか?考えてみると不思議だらけです。講演では最新の観測成果をもとにして銀河の謎についてご紹介します。

第50回 2002.1.7, 18:00〜
寿岳 潤 ( 東京天文台 / 東海大学 )
「SETI(地球外知的生命探査)の現状と展望」

いわゆる宇宙人探しは、1961年にドレークがオズマ計画と名づけて波長21センチメートルの電波で、ぐじら座タウ星とエリダヌス座イプシロン星からの信号を観測してからほぼ40年たちました。宇宙人からの信号を見つけるのに、今後40年、あるいは400年、いや 4000年かかるのかわかりません。あげくの果てに宇宙人(ただし銀河系内)はいないということになるかもしれません。宇宙人探しの現状と近い将来の展望についてお話しします。

講演者と題目の一覧

概要集: 1-10,  11-20,  21-30,  31-40,  41-50,  51-60,  61-70,  71-80,  81-90,  91-100,  101-110,  111-120,  121-130,  131-140,  141-150,  151-160,  161-170,  171-180,  181-190,

今後の予定