皆既月食と天王星食 (2022年11月8日)

2022年11月8日、皆既月食と同時に天王星食(天王星が月の背後に隠れる現象)がおきました。ぐんま天文台では動画のライブ配信を行ったほか、写真撮影も行いました。

ライブ配信した動画

写真で見る月食と天王星食の進行

これらの写真は、15センチ屈折式望遠鏡とデジタル一眼レフカメラD750で撮影したものです。ISO感度は3200に設定しました。

17時13分の月

17時13分 (露出3200分の1秒)

ぐんま天文台の東側にある山の上に、月が姿を現しました。まだ高度が低いため、大気の影響を強く受けており、色は黄色く、形は少し歪んでいます。

17時50分の月

17時50分 (露出4000分の1秒)

部分月食が始まる19分前。北東側(写真左上)が地球の半影によりやや暗くなってきました。

18時9分の月

18時9分 (露出4000分の1秒)

地球の本影に月が入り始めました。部分月食の始まりです。明るいところと暗いところの境目ははっきりせず、グラデーションになっています。

18時45分の月

18時45分 (露出4000分の1秒)

月のおよそ半分が地球の本影に入りました。明暗の境目あたりのグラデーションが、半月の時とは異なります。

この写真では分かりませんが、月明かりが弱まり、空に見える星の数が増え、天の川もうっすらと見えていました。

19時17分の月

19時17分 (露出4分の1秒)

月全体が地球の本影に入りました。皆既月食の始まりです。月の左側にある最も明るい点が天王星で、この後、月の影に隠れます。

この写真では分かりませんが、月明かりが弱まった結果、満天の星が見られ、天の川もよく見えるようになっていました。

19時40分の月

19時40分 (露出4分の1秒)

月と天王星が近づいてきました。月は地球のまわりを公転しているため、背後の星々に対して常にゆっくりと動いています。

19時59分の月

19時59分 (露出4分の1秒)

今回の皆既月食で、月が地球の本影の中心に最も近づいた瞬間です。

20時20分の月

20時20分 (露出4分の1秒)

月と天王星がますます近づきました。

20時39分の月

20時39分 (露出4分の1秒)

天王星が月の背後に潜入する直前。天王星が月にめり込んでいくようにも見えます。(よく見えない場合は、画像を拡大してご覧ください。)

20時42分の月

20時42分 (露出4分の1秒)

皆既月食が終了しました。天王星は月の背後に隠れており、見えなくなっています。

21時25分の月

21時25分 (露出4分の1秒)

天王星が月の背後から出現する直前の月。この頃、雲が出てきて、観測の邪魔になりはじめました。

21時26分の月

21時26分 (露出2分の1秒)

月の南側(写真では月の真下のやや右側)に天王星が出現しました。天王星が見えるようにするため、露出時間を伸ばしています。

21時50分の月

21時50分 (露出4000分の1秒)

部分月食が終了しました。半影の影響で右下がまだやや暗いです。

22時0分の月

22時0分 (露出4000分の1秒)

次第に半影の影響が薄れ、満月が輝きを取り戻してきました。

皆既月食の前よりも月が空高い位置に移動したため、黄色みを帯びていた月の色が白くなっています。(最初のほうの写真と色を比べてみましょう。)

月食と天王星食が見えた時刻

ぐんま天文台の場合
時刻現象月の見える方角と高度
18時09部分食の始まり東 18度
19時16皆既食の始まり東 31度
19時59食の最大東 39度
20時39分天王星が月に隠れる東南東 47度
20時41皆既食の終わり東南東 47度
21時26分天王星が再び現れる東南東 56度
21時49部分食の終わり東南東 60度

月食が見える時刻は全国どこでも同じです。月が見える方角と天王星食が見える時刻は、観察地により異なります。

過去と将来の月食

日本で
見やすいか
日付時刻月食の種類
2018年 1月31日22:29皆既月食
×2018年 7月28日05:22皆既月食
×2019年 1月21日14:12皆既月食
×2019年 7月17日06:31部分月食
2021年 5月26日20:19皆既月食
2021年11月19日18:03部分月食
×2022年 5月16日13:11皆既月食
2022年11月 8日19:59皆既月食
2023年10月29日05:14部分月食
×2024年 9月18日11:44部分月食
×2025年 3月14日15:58皆既月食
2025年 9月 8日03:11皆既月食
2026年 3月 3日20:33皆既月食

×印をつけた月食は、群馬からは見られません。月食がおきる時間帯には月が沈んでいるためです。

表には半影食のみの月食は記載していません。

館内展示物

月食をテーマとした新しいタッチパネル展示を2022年10月より本館2階展示室にて公開しています。

タッチパネル端末の写真

過去の月食の様子