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150cm望遠鏡でいて座に現れた増光天体の正体を明らかに!
〜赤い謎の天体? 実は星の爆発だった〜

ぐんま天文台では、4月21日に発見された天体を4月26−28日にかけて150cm望遠鏡にて観測を行い、新星であることを解明しました。

九州にお住まいのアマチュア天文家、西山さんと椛島さんから「4月21日にいて座に明るくなっている天体(11.7等)を発見しました。既存のカタログUSNO−B1.0 にある星(〜17等)が明るくなっているようですが、何かご存知ですか」と4月24日にメールにて直接連絡を受けました。突然増光するような新星であれば10等程度明るくなるので新星とは考えられません。そこで、この天体の色を他の既存のカタログ2MASSも使って調べてみました。それによると、この星は比較的赤い星で、炭素星のような変光幅の大きい赤色変光星であると思われたので、一旦は赤色変光星ではないかと返事をしました。

そして、その確認のため、4月26日から28日まで低分散分光撮像装置(GLOWS)を使って、この天体の分光観測を行い、スペクトルを取得しました。観測領域は、天の川の星の密集したところですので、既存のカタログと見比べながら、明るくなっていそうな天体を選び出しての観測でした。そして、その観測結果をみると、予想したものとは異なり、輝線が多数見られる、まさに新星といったスペクトルが出てきたのです。「新星だったのか!?」ということで、28日の観測で取得した画像を解析してこの天体の位置を測定したところ、カタログにある既存の星とは角度にして1.4秒ほど違いました。つまり、最初に認識したカタログにある星とはまったく無関係だったのです。このように、天体観測では、その天体の位置や明るさ、色やスペクトルといった様々な観測データを調べることが重要なのです。

新星 150cm望遠鏡+GLOWSにて撮られた発見された新星周辺の画像 (一辺は約10分角) です。 天の川の濃い部分であるため、周辺にはたくさんの星があることがわかるでしょう。
新星のスペクトル このグラフがぐんま天文台で得られた増光天体のスペクトルです。幅の広い水素のHα線、Hβ線、と酸素(O I)とそれに、1階電離した鉄輝線(Fe II)など、高速の希薄な高温ガスの存在を示す輝線が見られます。これらの輝線は、爆発した新星から放出したガスに存在する元素によるものと考えられます。

これらの観測の結果は国際天文学連合中央局回報(IAUサーキュラー) 9041号にて報告されました。

関連記事:VSOLJニュース213号

新星については過去の記事をご覧ください。

以下、IAUサーキュラー9041号より

Circular No. 9041

Central Bureau for Astronomical Telegrams
INTERNATIONAL ASTRONOMICAL UNION
Mailstop 18, Smithsonian Astrophysical Observatory, Cambridge, MA 02138, U.S.A. IAUSUBS@CFA.HARVARD.EDU or FAX 617-495-7231 (subscriptions)
CBAT@CFA.HARVARD.EDU (science)
URL http://www.cfa.harvard.edu/iau/cbat.html ISSN 0081-0304
Phone 617-495-7440/7244/7444 (for emergency use only)

NOVA SAGITTARII 2009

K. Kinugasa, Gunma Astronomical Observatory (GAO), writes that K. Nishiyama (Kurume, Fukuoka, Japan) and F. Kabashima (Miyaki-cho, Saga, Japan) reported a brightening of a USNO-B1.0-catalogue star located at R.A. = 17h44m08s.478, Decl. = -26o05'47".37 (equinox 2000.0) -- from fainter than mag 13.5 on their unfiltered CCD patrol image (105-mm-f.l. camera lens) taken on Apr. 18.705 UT to mag 12.5 on Apr. 21.681 (with additional magnitudes as follows: Apr. 21.711, 11.7; 22.720, 11.7; 23.760, 12.3; 25.683, 12.2; 27.815, 12.4). Kinugasa, S. Honda, and O. Hashimoto took low-dispersion (range 400-800 nm, resolution about 500) and high-dispersion (range 480-664 nm, resolution about 40000) spectra of this object on Apr. 27.7 with the GAO 1.5-m telescope (+ GLOWS and GAOES, respectively), which show a broad (FWHM about 2600 km/s) and double-peaked H_alpha emission, with several emission lines of Fe II and O I --indicating that this object is a classical nova in decline phase.

The astrometry (using the USNO-A2.0 reference stars) with images also taken on Apr. 28.8 (when the nova was at V = 13.7, R = 12.9, I = 10.6) with the 1.5-m telescope (+ GLOWS), reveals position end figures 08s.44, 48".7 -- which is about 1".4 from the USNO-B1.0 star, so the nova may be unrelated to it. H. Yamaoka, Kyushu University, adds that the ASAS-3 system (Pojmanski 2002, Acta Astr. 52, 397) also detects the object at the following V magnitudes: Apr. 16.374, [14.0:; 19.304, 12.4; 22.332, 13.4; 25.285, 13.6; 30.293, [14.0:.