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ぐんま天文台 > 特集・画像等 > 天文ニュース > 金環日食の安全な観察方法 (2012年3月13日)

金環日食の安全な観察方法

危険性を紹介するビデオ (倉敷科学センター提供)

太陽はとても明るく、金環日食の最中であっても、肉眼で直接観察すると目を痛めます。

黒い下敷きやサングラスなどを通して太陽を見ることは危険です。このような道具を使うと、目に見える可視光線は弱まるためまぶしさを感じませんが、目に見えない赤外線や紫外線を防ぎきれないため、自覚症状が無いうちに目を痛める恐れがあります。昔は良いとされた「すすを付けたガラス」を使う方法なども、今では安全でないとされています。

ここでは、安全に観察できる方法をいくつか紹介します。手軽なものから本格的なものまでありますが、事前の準備をしっかりと行って、自分の条件に合わせて楽しんでみてください。

日食の観察方法あれこれ

日食の観察方法はいくつかありますが、大きく2つに分けられます。太陽の姿をスクリーンに投影して間接的に見る方法と、太陽の光を十分弱めて直接肉眼で観察する方法です。いずれの場合でも注意点をしっかり守り、安全な観察を心がけましょう。

◆ 投影する方法 ◆

[1] 厚紙にピンホール(針穴)を開けて投影する

ピンホールを使った投影

【写真1】ピンホールによる日食観察

厚紙に針などで小さな穴を開け、その穴を通り抜けた太陽の光を別の白い紙(スクリーン)に映すことで、欠けた太陽の形を観察できます【写真1】。ピンホールカメラと同じしくみです。

太陽を直接見ずに観察できるので安全ですし、観察のための道具も簡単に安く作れる、お勧めの観察方法です。

穴の大きさはテレホンカードの穴くらい、直径1mm程度が良いようです。穴が大きすぎると、太陽の形ではなく穴の形が映ってしまいます。穴が小さすぎると像が暗くなり見づらくなります。望遠鏡のようにピント合わせの必要はありません。像の大きさは、ピンホールからスクリーンまでの距離の約100分の1となります。

太陽のかわりに蛍光灯などで実験する場合は、丸くない光源(蛍光灯など)を選び、光源からピンホールまでの距離を長く(数メートル)とり、部屋を暗くして実験すると良いでしょう。

ピンホールによる日食観察

【写真2】ピンホールによる日食観察

厚紙にたくさんの穴を開けておくと、その穴の並びのとおりにたくさんの欠けた太陽が映るので、文字や絵などを作って楽しむことができます【写真2】。ピンホールは完全な円でなくても大丈夫で、木漏れ日などでもも欠けた太陽の姿が映ります。

[2] 筒にピンホールを開けて投影する

筒式ピンホール式日食観察器の例

【写真3】筒式ピンホール式日食観察器の例

投影のしくみは上と同じですが、調理用ラップの芯やポテトチップスの筒状の空き箱などを利用して、投影像がはっきり見えるようにできます。筒の先にピンホールを作り(大きめの穴にアルミ箔をはり、これに針穴を開けると良い。)、反対側の底にはのぞき窓とスクリーン(白い紙)を設けます【写真3】。周囲からの光がスクリーンに当たりにくくなるため、太陽の姿が見やすくなります。

[3] 鏡を利用した投影

鏡による投影

【写真4】鏡による投影

小さな鏡を使って壁などに太陽の姿を投影する方法です。鏡の大きさ(直径)の200倍ほど離れた壁を利用します。大きい鏡を使う場合は、鏡の一部だけを残して他の部分を厚紙などで覆い隠します。例えば、直径1cmを残して他を隠した鏡を使えば、壁までの距離を2mにできます。鏡の形は四角でも大丈夫です【写真4】。

この方法は、ピンホールを利用した投影の応用と考えることもできます。鏡が大きすぎる場合(壁が近すぎる場合)は、太陽の形でなく鏡の形が映ってしまいます。

[4] 天体望遠鏡と太陽投影板を利用した投影

天体望遠鏡に太陽投影板をとりつける 天体望遠鏡と太陽投影板を使った観察

【写真5】天体望遠鏡と太陽投影板を使った観察

天体望遠鏡の接眼部に【写真5】のような太陽投影板を取り付け、太陽を投影します。ピントを合わせれば、ピンホール式の投影に比べて大きく鮮明な太陽像を観察できます。この方法では太陽の黒点も見られます。

観察時には、望遠鏡で太陽を直接覗いたり、光の通り道に手を入れて火傷しないよう注意して下さい。光の通り道に手を入れると火傷する場合もあるので注意して下さい。ファインダーにはふたをしましょう。望遠鏡やファインダーにふたをする時は、太陽のある側にふたをします。太陽と反対側にだけふたをすると、ふたが溶ける場合があります。太陽の投影に使えない望遠鏡もあります。

手作り太陽投影望遠鏡

【写真6】手作り太陽投影望遠鏡

簡単な「太陽望遠鏡」を作ることもできます。【写真6】は、細長い筒型ダンボール箱と牛乳パックに、100円ショップで入手したプラスチック製の老眼鏡のレンズ(片方)とルーペを取り付けて作った例です。対物レンズの前に絞りを入れてあるため火傷の心配がなく、直接太陽を覗くこともできない安全な形です。この程度の望遠鏡でも、ピンホール式の投影より大きく鮮明な像が見られます。

◆ 減光する方法 ◆

[5] 日食観察専用のメガネによる直視観察

日食観察用の専用メガネ

【写真7】日食観察用の専用メガネ

「遮光板」や「日食メガネ」などの名称でたくさんの製品が市販されており、減光された太陽をそのまま肉眼で見られます【写真7】。長時間にわたって見続けることは避け、時々目を休めるようにしましょう。また、もしも観察中に目に違和感を感じた場合には、観察を中止しましょう。望遠鏡や双眼鏡などと組み合わせて使ってはいけません。

[6] 太陽観察専用の望遠鏡用減光フィルターを使った直視観察

望遠鏡に特殊なフィルターを装着し、太陽を直接覗いて見る方法です。専用のフィルターを正しい方法で使う必要があります。絶対にサングラスや日食グラスで代用しないで下さい。

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