「スペクトルの違いから物質の性質を知る」という、天文学などでよく使われる手法(分光)を体感できる新たな展示、「スペクトル比較模型」が完成しました。
外観
2つの灯りと分光器(黒い箱)
蛍光灯のスペクトル
模型の中には、2つの灯りと、そのスペクトルを観察するための2台の簡易分光器が取り付けられています。
2つの灯りは片方が白熱灯(電球)、もう片方は電球型の蛍光灯ですが、外観はそっくりです。どちらが蛍光灯でしょうか?
分光器を通して灯りのスペクトルを見ると、どちらが蛍光灯かすぐに分かります。白熱灯と蛍光灯では光る原理が違うため、スペクトルも異なるからです。
天文学では、望遠鏡で集めた星の光を分光器で分析し、手にとって調べることのできない星の成分や温度などを分析しています。
改造前の様子(光路模型)
この模型は、開館当初から昨年夏まで展示していた「光路模型」を改造して製作しました。「光路模型」は150cm反射望遠鏡内部の光の道筋を示す模型で、主鏡と副鏡で集光する過程や、第3鏡を動かす事により焦点を切り替える様子を展示していました。しかし、長年の使用により化粧面や鏡面が劣化したこと、毎年メンテナンスに手間とコストがかかること、内容的に展示の必要性が低いと以前から指摘されていたことなどから、模型の内容を抜本的に変更することとなりました。
どのような内容の模型に改造するか、幾つかの案が出されましたが、予算の制約、安全性、改造の容易さなどを考えた結果、今回製作した内容に決まりました。
工作室。ボール盤、旋盤、フライスなどを使用しました。
外枠と電源タイマーは「光路模型」のものをそのまま利用しました。内枠は工作室で職員がアルミ板を加工、塗装して製作。電球、蛍光灯、ソケット、配線は全て家庭用のものを使用。簡易分光器は100円ショップで売られているプラスチックケースを加工のうえ、回折格子フィルムを貼り付けて製作しました。
スペクトル比較模型の製作は、多くのスタッフの協力をいただきながら、主に高橋と大林が担当しました。