小型低分散分光器
Gunma Compact Spectrograph (GCS)

小型低分散分光器GCSの外観 小型低分散分光器GCSを65センチ望遠鏡に取り付けた様子

ぐんま天文台の小型低分散分光器 GCS ( Gunma Compact Spectrograph ) の仕様、波長較正チャート、観測例等を紹介します。この装置は、ぐんま天文台の65cm望遠鏡に取り付けて使用します。

仕様・性能

GCSの仕様
望遠鏡D=65cm, f=7800mm, F12, カセグレン
コリメータレンズ(f=240mm)
カメラレンズ(f=200mm)
分散素子平面回折格子 (300gr./mm, 1200gr./mm : ブレーズ波長は500nm)
<300gr/mmの効率曲線> <1200gr/mmの効率曲線>
検出器Apogee社製 水冷CCDカメラ AP-8 (SITe 1Kx1K)
スリットビューア 1倍レンズ系 + SBIG社製 空冷CCDカメラ ST-7
スリット長さ10分角
スリット幅2秒角
波長分解能500、2000 @500nm (回折格子交換により選択)
観測波長域380 〜 760 nm、500 〜 900 nm (いずれも分解能が500のとき)
波長較正光源Hgランプ、Neランプ併用
システム効率〜4%@500nm < 感度曲線 > ただし、大気、望遠鏡、分光器、CCDのすべてを含んだ効率の典型値

内部構造

波長較正チャート

観測結果 (例)

テキストデータは、波長[Å]と相対強度(感度補正済み) [erg * cm-2 * sec-1 * Å-1])を並べたものです。

超新星SN2001bg (スペクトル, テキストデータ)
超新星SN2001bg、2001年5月11日観測。系外銀河NGC2608に現れた超新星です。発見の翌々日に観測したもので、鉄(Fe)や硫黄(S)、硅素(Si)の広い吸収線が見られます。これら吸収線の幅はおよそ10000km/sに相当します。これらの吸収線や水素の吸収線がないことから、この超新星はIa型と呼ばれるタイプのものであると考えられます。→解説
C/2001A2(LINEAR)彗星 (スペクトル画像, スペクトル, テキストデータ)
C/2001A2(LINEAR)、2001年4月4日観測。彗星の可視スペクトルに顕著なCN,C2,C3,NH2などが見える。スペクトル画像には背景光として市街光が写っている。ガスによる輝線とダストによって散乱された太陽スペクトルの比率が、McNaught-Hartley彗星とは著しく異なる。典型的なガスリッチ彗星である。→解説
McNaught‐Hartley彗星 (スペクトル画像, スペクトル, テキストデータ.)
C/1999T1(McNaught‐Hartley)、2001年1月17日観測。彗星の可視スペクトルに顕著なCN,C2,C3,NH2などが見える。スペクトル画像には背景光として市街光が写っている。また、ガスとダストの空間分布の違いが見て取れる。
M1 (スペクトル画像, テキストデータ.)
別名「かに星雲」と呼ばれる超新星残骸。ガスの運動が早いので、Hαなどの輝線がドップラー効果で場所毎に異なる波長にずれている。
M57 (スペクトル画像, テキストデータ.)
惑星状星雲。画像は、縦方向が空間方向、横方向が波長方向(長波長側は左)である。輝線によって空間方向の広がりが異なるのが見てとれる。中心星のスペクトルは、ほとんど見えない。
NGC6543 (スペクトル画像, スペクトル, テキストデータ.)
別名「猫目星雲」と呼ばれる惑星状星雲。画像は、縦方向が空間方向、横方向が波長方向(長波長側は左)である。輝線によって空間方向の広がりが異なるのが見てとれる。輝線以外にも中心星の連続スペクトル、さらに周辺ガスからの連続光成分も見られる。
M42 (スペクトル, テキストデータ.)
オリオン星雲。水素のバルマー系列の輝線がみごとに並んでいる。市街光も写っている。
SS433 (スペクトル, スペクトル拡大, テキストデータ.)
光速の26%というとてつもないスピードでジェットを噴出している活動天体。水素の出すHα線が、ドップラー効果によって、本来の波長(656.3nm)から波長の長い方と短い方にシフトした成分も見られている。
T Tau (スペクトル, テキストデータ.)
おうし座T星。前期主系列星として有名である。一回電離カルシウムの輝線、水素のバルマー系列の輝線が目立つ。
HR5501 (スペクトル.)
恒星。水素原子のバルマー吸収が顕著に見られる。
木星 (スペクトル画像.)
木星。カラーCCDで撮ったスペクトル。左端の赤い領域にある強い吸収線が水素原子のHα、赤と緑の境目にあるのがナトリウムのD線。木星は太陽光を反射しているので、基本的に太陽のスペクトルと似ている。カラーCCDの色再現性が悪く、D線のあたりはうまく色が再現できなかった。

その他のデータ ( テキスト )

その他のデータ ( GIF format )