「もうじきサウザンクロスです。」
「あ、あすこ石炭袋だよ。そらの孔だよ。」
南十字星(Southern Cross)は、ケンタウルス座の南にあります。このあたりは、沖縄あたりまで行かないと観察できません。
石炭袋は「コールサック」とも呼ばれ、真っ黒で星がないように見えます。賢治が、「空の孔」と表現するのももっともです。しかし、この真っ黒な部分は「暗黒星雲」とも言われ、実は、星々が生まれる場所なのです。ガスが濃く集まっているため、その様子が確認できないだけなのです。
- 賢治が「空の孔」と言っていた部分は暗黒星雲です。以前は暗黒星雲は「何もない場所」と考えられていました。可視光線では電磁波を出していなかったり、途中の物質に吸収されたりして、見えなかったからです。
- しかし、その後、電波や赤外線による観測が行われるようになって、考え方が一変しました。実は、暗黒星雲は星誕生の温床だったのです。
- 可視光線よりも波長の長い「赤外線」「電波」は、ガスや塵に対する「透過性」が高く、ガスの中で起こっている現象を見せてくれます。また、ガス分子そのものの情報も電波や赤外でキャッチできるようになりました。
- ぐんま天文台も赤外線カメラを導入し、星生成のメカニズムや分子状態の解明を行おうとしています。
可視光線と赤外線の見え方の違いを紹介します。

左:可視光線の画像、右:赤外線の画像
( 高解像度の画像)
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