第4回天網の会ワークショップ

会場:県立ぐんま天文台 映像ホール
日時:2001年11月27日(火) 〜 28日(水)

趣旨

このワークショップでは、天文学の専門家とインターネットの専門家が集まり、天文学とインターネットについてそれぞれの視点から語り合いながら、深く議論をしたいと考えています。そして、来るべき21世紀の天文とネットワークの向かうべき姿について考え、天文学とインターネットに関する新たな研究活動、新たな教育普及活動を始めるきっかけにしたいと考えています。

今回のワークショップでは、これまでの活動をさらに深めていくとともに、6月のアフリカ日食のインターネット中継、11月の獅子座流星群中継の活動報告と、中継技術の現状などについて議論を行います。また、国立天文台のデータベースと宇宙科学研究所のデータベースの間を 1Gbps で(Firewallを経ずに)直結する計画であり、その活用を考えて議論をしていきたいと思っています。

また、日食、獅子座流星群などのイベントだけにとどまらず、イベント以外での天文活動とネットワークの活用方法についても議論したいと思います。どのようなことが可能か、また、どのようなことができれば面白いかについてアイデアを募集しております。奮って御参加ください。

主なテーマ

プログラム

2001年11月27日(火)

14:30-14:40古在 由秀あいさつ
14:40-15:00衣笠健三ぐんま天文台の計算機システムとネットワークを利用したプログラムの紹介
15:00-15:30笠原春夫i-Spaceプロジェクトについて
15:30-16:00小林 和真セキュリティ技術の最新動向
16:00-16:20休憩
16:20-16:50高橋典嗣2001年アフリカ日食の概要
16:50-17:20縣秀彦、他放送型通信を用いた日食インターネット中継の実施例とその評価
17:20-17:50高橋典嗣、他インターネットを使った日食遠隔講義 -「理科学習」と「総合的な学習」における遠隔講義の有効性に関する考察-
17:50-18:30観望会(晴れた場合)
19:00-懇親会(わらび荘にて)

2001年11月28日(水)

9:30-10:00相川成周LIVE! ECLIPSE 2001, LIVE! ECLIPSE 2001
10:00-10:30中山雅哉日食中継における Web server への広域分散アクセス方式について
10:30-10:50休憩
10:50-11:20千葉庫三天文分野におけるスーパーSINET利用計画
11:20-11:50市川伸一SINET による国立天文台と宇宙科学研究所の天文データベースの連携運用
11:50-12:20氏原秀樹リアルタイムVLBIでのパルサーゲート改良案
12:20-尾久土正巳まとめ
13:00-施設見学(希望者のみ)

講演概要

(0) ぐんま天文台の計算機システムとネットワークを利用したプログラムの紹介   衣笠 健三
ぐんまのシステムを紹介するとともに、それらを使った活動(予定)について簡単に紹介する。
(1) i-Spaceプロジェクトについて   笠原春夫
現在宇宙開発事業団が推進している「i-Spaceプロジェクト」のご紹介。及びi-Spaceの天文分野への応用についての提案。
(2) セキュリティ技術の最新動向   小林和真
インターネットを利用して何かをしようとしたときに、どうしても気になるのがキュリティです。本チュートリアルでは、現在のインターネットにおけるセキュリティ状況を紹介します。
(3) 2001年アフリカ日食の概要   高橋典嗣
2001年アフリカ日食における観測、国際交流、インターネット中継等の概要
(4) 放送型通信を用いた日食インターネット中継の実施例とその評価   縣秀彦、尾久土正己、中山雅哉、永井智哉、高橋典嗣
2001年6月21日のアフリカ皆既日食において,3カ国からインターネット中継を行った.Web上でアンケート調査を行い,視聴者の満足度等を調査した.その結果,日食中継の評価因子として,「画質・音声」,「疲労感」,「資料」の3つの因子を抽出した.今回の中継においては,帯域の違いと視聴の満足度との間に相関がみられなかった.また,高品質映像が視聴者の満足度にどう影響を与えるかを調べるため,一中継地点からは,インテサット経由で高品質映像を中継し,インマルサット中継による従来の画質の映像中継と比較したが,56kbpsと256kbpsのどちらの帯域の視聴者でも,中継品質の違いが満足度に影響を与えることはなかった.一方,1Mbps専有で配信され巨大スクリーンに投影された同高品質映像は受講者の満足度に強く寄与しており,1Mbps以上の帯域での配信の有効性が確認できた.
(5) インターネットを使った日食遠隔講義 -「理科学習」と「総合的な学習」における遠隔講義の有効性に関する考察-   高橋典嗣、縣秀彦、前田香織、尾久土正巳、山崎良雄
広島市内の小学校及び科学技術館など7カ所で行った遠隔講義及び学習活動における 遠隔講義の有効性について述べる。
(6) LIVE! ECLIPSE 2001, LIVE! ECLIPSE 2001   相川成周
中継ネットワークの実際
(7) 日食中継における Web server への広域分散アクセス方式について   中山雅哉
日食中継時の Web server へのアクセス集中を回避するために行った分散アクセス方式についての概要説明とその効果について報告する
(8) 天文分野におけるスーパーSINET利用計画   千葉庫三
2002年1月より「スーパーSINET」の運用が開始される。天文分野では国立天文台を中心にして、「汎用IP接続」「天文分野独自ネットワークの構築」「宇宙研−天文台DB連携運用」「オンラインVLBI」での利用が計画されている。国立天文台を中心としたネットワーク構成について紹介する。
(9) SINET による国立天文台と宇宙科学研究所の天文データベースの連携運用   市川伸一
来年初めより Super SINET を利用して、 国立天文台天文学データ解析計算センター と宇宙科学研究所宇宙科学企画情報解析センターの天文データベースの連携運用を行うとともに、共同開発体制を整える予定である。最終的には、一つの研究室で一緒に仕事を進めていくようなイメージを考えている。本講演ではその概要を述べる。
(10) リアルタイムVLBIでのパルサーゲート改良案   氏原秀樹
国立天文台では、宇宙研、通総研、NTTと共同でGALAXYと呼ばれるリアルタイムVLBIシステムを開発している。現状はATM伝送であるが、将来はスーパーサイネットを活用し、10Gbps程度の広帯域化をはかり、望遠鏡感度を向上する予定である。パルサーの観測では、感度向上のために相関処理の際にパルサーゲートという手法が用いられるが、GALAXYのようなリアルタイムVLBIでは、その特質を活かして、更なる高感度化が可能である。このための技術提案についてのべる。

世話人

衣笠健三、西原英治、橋本修、大林 均(ぐんま天文台)、村山公保(倉敷芸術科学大学)

後援

WIDE プロジェクト、天文情報処理研究会

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