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新しい画像(拡散が進むホームズ彗星):
2007年11月7日19時1分から20時16分にかけて、観察用望遠鏡ε-250にCCDカメラBT-211Eを取り付けて撮影。露出時間はトータルでB:1200秒、V:600秒、R:600秒、各フィルターについて20枚ずつ重ねています。
2007年11月3日22時45分から23時22分にかけて、観察用望遠鏡ε-250にCCDカメラBT-211Eを取り付けて撮影。露出時間はトータルでB:500秒、V:250秒、R:250秒、各フィルターについて25枚ずつ重ねています。
2007年10月28日19時37分、デジタルカメラNikon D70に300mm F2.8の望遠レンズをつけて撮影。露出時間20秒。中心部分を拡大して見る。
17P/Holmes ホームズ彗星 (2007年10月25日 午後6時)
彗星というと尾を引いた姿が思い浮かびますが、画像には尾が映っていません。ぼんやりと広がった姿です。これは、彗星から一気に放出されたダスト(塵)が太陽光を反射して見えているものです。アウトバーストを起こす前にも尾が見えませんでしたが、今後、このダストが短寿命の尾をつくるかもしれません。
日本時間の10月25日(木)未明、ホームズ彗星(17P/Holmes)が急激に明るくなりました。数日前までは約17等とたいへん暗く、ぐんま天文台の大型望遠鏡でも見えなかったのですが、約40万倍も明るくなり、3等星よりも明るい天体として肉眼でも捉えられるようになりました。このように天体が急激に明るくなる現象を「アウトバースト」と呼んでいます。
アウトバーストにより、彗星が肉眼で見えるようになること自体珍しい出来事ですが、今回のアウトバーストの特徴は観測史上例のない急増光(約14等)が見られたことにあります。
アウトバーストはその原因を含めて謎が多く、今回の現象は謎解きのヒントをたくさんもたらしてくれる貴重なものになりそうです。アウトバーストを起こして間もない時のこの彗星の姿を、ぐんま天文台の150cm望遠鏡でも捉えました。画像は、25日午後6時頃に可視撮像分光装置で捉えた彗星の姿です。
彗星は、アウトバーストの後は速やかに暗くなるのが普通です。ホームズ彗星は現在ペルセウス座に見えています。一週間後には肉眼では見えなくなるかもしれませんが、望遠鏡ではまだ見ることができるでしょう。
25日の観測では、その後分光観測を行った結果、他の彗星とは様子が異なる可能性があることが分かりました。増光の原因を探るべく今後も観測を続ける予定です。
ホームズ彗星は1892年にロンドンのホームズ氏が発見した彗星で、火星と木星にはさまれた軌道を6.88年で一周しています。発見された1892年にも急増光がみられ、12等明るくなったという記録があります。このときは1週間後には肉眼では見えなくなりました。今回の急増光は記録をみる限りそれ以来ということになります。
この彗星は今年5月に近日点(太陽から約2.1天文単位)を通過し、現在は太陽から約2.4天文単位(太陽から地球までの距離の約2.4倍)の距離にあります。地球からは約1.6天文単位の距離です。
しばらくはペルセウス座にあり、現在はペルセウス座の星がひとつ増えたような見え方をしています。一晩中観測可能です。
ホームズ彗星の位置(平成19年10月28日(日)午後8時頃、彗星左下の丸は月)
位置図はステラナビゲーター(AstroArts社)により作成しました。
問い合わせは、県立ぐんま天文台、電話 0279-70-5300、FAX 0279-70-5544 へ。