ぐんま天文台 γ線バーストGRB021211の可視光残光の観測に成功

2002年12月11日、ぐんま天文台65cm望遠鏡での観測によってγ線バーストGRB021211の可視光残光観測に成功しました。

γ線バースト(GRB)とは、宇宙のある方向において数秒間にわたって突然γ線(可視光に比べて約100万倍ものエネルギーをもつ電磁波)で明るくなる現象です。長い間、謎の現象とされてきましたが、最近になって、X線や可視光でその残光が発見され、遠方の銀河で起こっている大爆発であることが分かってきました。しかしながら、どのような天体がそのような大爆発をおこすのかは未だに分かっていません。また、その残光もγ線バースト発生後、数時間〜1日ですぐに暗くなってしまうため、迅速な観測が必要となります。

GRB021211は、理化学研究所がアメリカやフランスと協力して打ち上げたγ線バーストの発見を目的としたHETE2衛星によって2002年12月11日20:18(日本標準時)に発見されたγ線バーストです。HETE2衛星によって発見されたγ線バーストの位置は、発見後約1分でインターネットを通じて全世界へ配信されました。ぐんま天文台でもその通報を受け取ってすぐに観測準備をし、21時40分頃(γ線バースト発生後約1時間20分後)、その位置が東から登ってきたところで観測を始め、その残光が暗くなっていくところを捕らえることに成功したのです。それから2時間半ほど観測をし、約21等級となっているところを突き止めました。日本では、西日本は天候が悪く観測できなかったようですし、東京大学の木曽観測所が翌日観測を行なったようですが、すでに暗くなっており検出することができなかったようです。残光が減光するスピードは発生後しばらくしてから急激に早くなることが知られていますが、ぐんま天文台の観測時間はその減光の速さが変化する時期にあたり、貴重なデータとなると思われます。

GRB021211

γ線バースト(GRB)とは、宇宙のある方向において数秒間にわたって突然γ線(可視光に比べて約100万倍ものエネルギーをもつ電磁波)で明るくなる現象です。この現象は、1960年代後半から1970年代初頭にかけてアメリカの核実験監視衛星Velaによって発見されたものですが、短時間の現象であること、また、γ線の観測装置がγ線が飛んできた方向を正確に求めることができなかったことなどの理由によって、およそ30年の間、謎の現象とされてきました。太陽系近傍といった比較的近いところで起こっているのか、それとも、宇宙の果てで起こっているのかさえ分からなかったのです。この状況を一変させたのが、イタリアのX線衛星BeppoSAXがγ線バーストのX線残光を発見したことです。この通報に続き、可視光残光も発見されました。そうすると、大望遠鏡などで可視光残光のありかを調べることができます。そうすると、遠方の銀河で起こっていることが分かってきました。つまり、宇宙で最も大きな大爆発であることがわかってきました。しかし、未だに観測例が少ないこともあり、何がその大爆発を起こしているのかがわかっていません。

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