いての停車場、双子のお星さまの宮

さそり座の二重星
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「あれはきっと双子のお星さまのお宮だよ。」

ここで賢治が言っている「双子の星」とは、冬の星座「ふたご座」ではなく、写真の「さそり座」の尾の部分の「二重星」であろうと言われています。

賢治は、死んだ妹「とし」と自分を「双子」と意識するくらい特別な愛情を持っていたと言われています。

科学の目
  • 夜空に見える星々は連星であることが多分にあります。たとえば、「北極星」もそうです。また、三重星やそれ以上のものもあります。単独の星が圧倒的に多いかというと案外そうでもありません。
  • 連星には、軌道が知られていて複数の星からなることが確認できる「実視連星」と、スペクトル線の移動やパルスの周期変動などから判断する「分光連星」とがあります。
  • 理科年表を利用すると、いろいろな天体情報が記されています。ちょっと厚いのですが、ポケットサイズが 1200 円ですので、そばに置いておくと便利です。

彗星/ほうき星

「それから彗星ほうきぼしがギーギーフーギーギーフーてって来たねえ。」

この表現からすると、賢治は彗星を銀河や星々と違った別のもののように見ていたようです。

科学の目
  • 彗星は、「よごれた雪玉」だと言われています。
  • 太陽に近づくと、太陽からの放射を受けて、表面が蒸発して尾を形成します。尾は大きく分けて「ダストテール」と「イオンテール」に分けられ、おおよそ太陽と反対方向にできます。
  • 彗星は、太陽系形成時の原始太陽系の成分を保存していると言われます。太陽系の外側に彗星の巣があると言われ、「オールトの雲」と呼ばれています。太陽系は天の川銀河のまわりを振動しながら回転しています。彗星は、太陽系が銀河面を上下方向に通過するとき、重力的な影響を受けオールト雲から離れて太陽に向かって落ち始めるようです。
  • 現在(2001 年夏)、「リニア彗星」が地球のそばにいます。あまり明るくありませんが、確認することはできます。
  • 彗星をスペクトル分析して、その組成を調べる研究が盛んに行われています。その結果、生命を形成する基本分子などが見つかっています。また、地球上の豊かな「水」も彗星のシャワーからできたとする説もあります。
  • 逆に、巨大彗星が地球に衝突し、生命の絶滅と新種の繁栄をもたらしたとする説も有力です。
リニア彗星のスペクトル
彗星
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