ぐんま天文台 駐車場 ぐんま天文台 通路
「ぼくは立派な機関車だ。ここは勾配こうばいだから速いぞ。」 ジョバンニは、せわしくいろいろのことを考えながら、さまざまの灯や木の枝で、すっかりきれいに飾られた街を通って行きました。
ぐんま天文台 本館(遠景)

ぐんま天文台 本館(近景)
そのまっ黒な、松やならの林を越えると、にわかにがらんと空がひらけて、天の川がしらしらと南から北へとわたっているのが見え、……。
夕焼け空に映えるぐんま天文台

銀河ステーション

ぐんま天文台と天の川
するとどこかで、ふしぎな声が、銀河ステーション、銀河ステーションとう声がしたと思うといきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、……。
高く高く星めぐりの口笛を吹きながら一生けん命延びあがって、その天の川の水を、見きわめようとしましたが……

ジョバンニが地上から銀河鉄道に乗り込もうとする部分です。賢治は岩手県北上川の水面に立つ天の川銀河を見たのでしょう。ちょうど、こんな感じの景色だったに違いありません。

科学の目
  • 今ではなくなってきた「真っ暗な夏の闇夜」、賢治は水面に立つ「天の川」をはっきり見たはずです。 ミルキー・ウェイと表現される「白い川」などとは比べものにならないほど、くっきりと、しかも、天の川銀河の中の暗黒星雲の存在を感じたはずです。
  • この写真は合成です。 ぐんま天文台はこんな山奥にありながら、実は天の赤道(オリオン座の三ツ星)より南は都市の灯りが強く、観測になりません。 まさに、さそり座やいて座のあたりです。
  • 自然保護や生態系の保全、省エネルギー等を考えると、賢治の生きた頃のあの暗闇が返ることが必要のように思われます。 最低限の安全、防犯の灯りだけにしていくことが急がれています。
  • 群馬県では「ぐんま星空憲章」を作って、自然の姿を取り戻す努力を始めました。