極超新星 SN 2002ap

超新星出現前のM74の写真

超新星出現前のM74
2001年10月11日
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超新星出現後のM74の写真

超新星出現後のM74
2002年2月6日
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2枚目の写真にのみ写っている右下の青白い星が極超新星 SN 2002apです。1枚目と2枚目で色や画質が異なるのは撮影上の問題であり、実際には銀河の色は同じです。(2枚目の撮影途中でCCDカメラ冷却用の液体窒素が無くなり画質が悪くなりました。)

超新星SN 2002apは、茅ヶ崎市にお住いの天文愛好家、広瀬洋治さんによって発見されました。超新星が出現したのはうお座の銀河M74で、開いた渦巻がほぼ真正面から見えます。M74は私たちからおよそ3700万光年の距離にある、たいへん近くの銀河のひとつです。

超新星の位置は、M74の中心から西に4.3分角、南に1.8分角ほど離れたところにあたります。銀河円盤の腕の最外部で、見た目には銀河本体からかなり外にあるように見えるでしょう。銀河に重なる前景の星がたくさんありますから、どの星が超新星か注意して見る必要があります。

この超新星は、1月29日午後7時ごろに14.5等で発見されて以来2日で、すでに1等ほども明るくなっています。1月25日には18等より明るい天体は見られなかったとの報告もあり、爆発後間もない天体なのは確かです。

この超新星のスペクトルを、ぐんま天文台が1月31日午後7時ごろに取得し、その解析を行いました。その結果、世界に先駆けて、この超新星はたいへん特異な「極超新星(hypernova:ハイパーノバ)」にも似たスペクトルをしていることがわかりました。同様の観測が、少し遅れて国内の美星天文台でも得られています。この特殊な天体の正体を明らかにするためには、直ちに世界中の天文学者による集中的な観測が必要です。なぜなら、このような天体は間もなく暗くなって観測できなくなってしまうと予想されるからです。ぐんま天文台の衣笠、河北両研究員は、美星天文台の綾仁台長、川端研究員、九州大学の山岡助手らとともに、この超新星の観測結果を国際天文学連合回報7811号にて公表し、世界中の天文学者にむかって今後の観測の重要性を訴えました。